日本でもモバイル決済は普及するか、普及を阻む4つの原因―中国メディア

人民網日本語版    2019年3月16日(土) 15時20分

拡大

現在、中国人の暮らしの至るところでスマホを手放せない。だが、中国人観光客が日本に行って気づくのは、中国でのようにスマホを使ってスムーズに決済できないことだ。写真は日本の映画館。

現在、中国人の暮らしの至るところでスマホ(スマートフォン)を手放せない。だが、中国人観光客が日本に行って気づくのは、中国でのようにスマホを使ってスムーズに決済できないことだ。日本ではフィーチャーフォン(ガラケー)を使う人もまださくさんおり、安倍晋三首相もこのほど衆院予算委員会で、「私はスマホを持っていない」と明かした。光明日報が伝えた。

実際、日本社会では中国で急速に進む「キャッシュレス化」に驚きの声が広がっている。日本メディアは、「中国はスマホを基礎に、顧客にさまざまな新サービスを提供しており、サービスの数量も規模も世界トップレベルだ。一方で、日本では、携帯電話の応用サービスが普及していないため、中国のように便利にオンライン配車、シェア自転車、フードデリバリー、宅配便などのサービスを利用することはできない」と報道した。

■モバイル決済が日本で急速普及できないさまざまな原因

今の中国では、スマホなどによって実現したモバイル決済がすでに「生活インフラ」になったが、先進国の日本では普及していない。日本銀行(中央銀行)が行った調査によると、モバイル決済利用率は日本がわずか6%に対し、中国は98.3%となっている。日本でモバイル決済が普及しない原因は多方面に及ぶ。

第1の原因は、日本社会は新しい物事を受け入れるのに相対的に時間がかかり、新しい技術や方法などがなかなか順調に普及しないことだ。新しいサービスが登場しても政府や企業など複数の機関によるたくさんの煩雑で複雑なプロセスを経なければ普及拡大できず、効率が低く、さまざまな原因で流れが止まってしまう可能性がある。モバイル決済の中国での発展プロセスは日本よりずっとスムーズで、たどってきたプロセスの違いがモバイル決済のような革新的サービスの境遇を日中で異なったものにしている原因だといえる。日本は「失われた20年」に陥った後、いまだに泥沼の中から抜け出せず、同じ場所で足踏みしているが、中国は多くの点で「カーブでの追い越し」を達成した。スマホの普及とスマホにより提供される新サービスモデルがその好例だといえる。

第2の原因は、日本国民が個人のプライバシーを非常に重視し、資産情報や個人情報を信頼度のそれほど高くない企業に「明かしたくない」と考えていることと、モバイル決済にセキュリティー面で懸念を感じていることだ。そこで日本国民がモバイル決済のセキュリティー性能を徹底的に知ってもらい、その懸念を解消することが、モバイル決済を日本でスムーズに発展させるためのカギになる。

第3の原因は、現金払いが日本人に根付いていること、スマホが日本では十分に普及していないことだ。日本では現金への依存度が高い人が多く、クレジットカードですら完全に普及しているとは言いがたい。大規模なショッピングセンターや大手チェーンのコンビニエンスストア、星がつくホテルを除き、多くの店舗はいまだに現金しか受け取らず、カードが使えない。日本社会は消費者が現金で支払い、店側が現金を受け取るというやりとりでバランスが取れている。消費者が現金でいいというなら、多くの小規模資本の店舗がカードなどの決済方法に対応しないのは当然のことだ。カード決済にすると、店舗から決済会社へ3.25~6%ほどの手数料を支払わなければならないのだ。

第4の原因は、人口高齢化がモバイル決済の発展を制約していることだ。日本は高齢化がますます深刻化し、それによってもたらされた人手不足という客観的状況が関連サービスの発展を直接制約している。デリバリーサービスを頼もうと思ったとしよう。中国ならスマホで簡単にできるが、日本では注文サービスを提供するソフトウェアがあったとしても、配達員の人件費が高く、「注文は簡単だが、配達が困難」という状況になる。これも日本のモバイル決済が中国ほどスムーズに発展しない原因だ。

■日本で「モバイル決済」の試行スタート

日本メディアの報道によると、中国がスマホの普及をよりどころに、新しい「スマホ社会システム」を発展させたことに、誰もが称賛の念を禁じ得ないという。これほどの大きな発展に直面して、日本企業は対応策を見いださなければ、生き残りのチャンスをつかむことはできない。また、日本メディアの中には次のような見方を示すものもある、変革に直面しようとする時、日本企業の反応は非常に鈍く、イノベーションの技術とサービスで出遅れ、人工知能(AI)でも他の先進国との差が開くばかりだ。中国企業はその中でチャンスをつかまえ、困難を乗り越えて日本市場上陸も果たした。東京の中国人観光客のいる場所には、支付宝(アリペイ)や微信支付(WeChatペイメント)が使える店があり、中国人観光客に便利なサービスを提供するとともに、日本の店舗のモバイル決済への対応を後押しし、日本の人々にもある程度便利さを感じさせている。

実際、日本にもそれなりのスマホ決済はあるが、種類が多すぎて、一定の影響力を持つことは難しい。たとえばQRコードやバーコードの読み取りで決済を行う企業が7社以上あり、それぞれ特徴がある。チャットアプリで決済ができる、スマホ決済で割引きになる、ポイントをためられるなどだ。スマホ決済を利用するならそれぞれアカウントを登録しなければならず、使い勝手もそれほどよくない。日本のネットユーザーは、「混乱している。どれを使えばいいのかわからない」と嘆く。

安倍首相は今年2月、日本の商店街でキャッシュレス決済を初めて体験し、「スマホがないので、iPad(アイパッド)でQRコードをスキャン(して決済)した。お年寄りでも簡単にできる」と感想を語った。日本のモバイル決済サービス分野では、鉄道事業者のJR東日本の「モバイルSuica」や移動体通信事業者のNTTドコモの「iD」などの非接触決済が一歩先んじるが、読み取り装置の導入費用の負担が大きいことから、中小規模店舗になかなか普及しない。中国などで普及したスマホのQRコード・バーコード決済では、店舗側もモバイル端末を利用して決済することができ、コストが抑えられたことが大きい。

現在、モバイルインターネットの大きな波が激しく押し寄せている。日本の専門家は、「現金決済を好む日本でも、消費者の利便性が向上し、店舗側の導入コストが低下すれば、スマホ決済がこれから普及する可能性がある」と分析する。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携