<コラム>「非核化」の定義はどうなる?第二次米朝首脳会談迫る

木口 政樹    2019年2月26日(火) 6時10分

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2月27、28日の両日にベトナムのハノイで開催されることが決まった第二次米朝首脳会談は韓国では火急の話題だ。米朝の高官らが現在首脳会談での議題まとめに奔走している。資料写真。

韓国では3月1日(サンミルチョル)が祝日になっている。1919年3月1日は、日本からの独立を標榜して民衆が立ち上がった日であり(3・1独立運動)、それを記念してサンミルチョル(3・1節)が存在する。

今年はちょうど100年目にあたり、韓国では1月のはじめからいろいろな催し物がつぎからつぎへと登場している。最近の話題としては、1919年4月11日に中国の上海に「上海臨時政府」を樹立したのを記念して100周年にあたる今年4月11日を、臨時の祝日にしようという動きが大統領府を中心にして起こっていることなどがある。趣旨としては、臨時政府樹立の歴史的な意味を国民皆で考えようというもの。まだ確定したわけではない。現在世論収斂過程を進めており、閣議の審議と大統領裁可を経て大統領令で確定される。たぶん可能性は大である。

2月27、28日の両日にベトナムのハノイで開催されることが決まった第二次米朝首脳会談の話題も勿論韓国では火急の話題だ。米朝の高官らが現在首脳会談での議題まとめに奔走している。今回の第二次会談も、去年6月の第一次のときのように、二人の首脳が実際に会談するのは、一日だけ(28日)行われる可能性が大きいようだ。

一日でも二日でもそれが重要なのではなくて、何が話し合われ、どんなことが決められるかが一番の重要事。ちょっと驚くことは、「非核化」の定義がまだはっきりとなされていないということ。つまりアメリカと北朝鮮とで「非核化」に対する共通概念がないというのである。なので今回の会談では「非核化」が何を意味するのかをはっきりさせることも重要議題の一つであるという。

朝鮮半島から核をなくすことが「非核化」ということであろうが、それを定義する?いったいどういうことなのか。筆者の感覚としては、非核化ということは当然朝鮮半島から核兵器を全てなくすことという大前提はお互いに共通の理解であるけれど、そこにいたるまでの過程を具体的に、一つ一つ互いの話し合いで決めてゆくということなんだろうと思う。核の廃棄ではなくて核の凍結(英語ではfreeze)も議題として話されているという情報などもあり、完全非核化までのロードマップを提示できるかどうかが今回の第二次会談の最大のカギということになるりそうだ。核の凍結どまりになるのであれば、完全非核化からはほど遠い低レベルの合意ということになり、さらには核の凍結が何を意味するのかもまた定義されねばならない煩雑な交渉になるわけだ。

第一次では、二人の仲のよい振る舞いだけが喧伝されたけれど、中味のない会談であったことは否めない。今回も同じようにただ会って食べてしゃべったということだけになってしまうことはありえないだろう。そんなことになれば「米さん、北さん、二人でなんの茶番劇をやってるの」と全世界の顰蹙(ひんしゅく)をかうことになる。完全非核化への歯車を一個だけであっても前に回らせることが是が非でも必要であり、またそうなるだろうと思う。

何が登場してくるのか。全世界が固唾を呑んで見守る中、キム・ジョンウン(金正恩)委員長を乗せた列車はすでに平壌を発った。誰もが予想した北京訪問はせず、直接列車に乗ったままベトナムまで向かっているという。

トランプ大統領も2月25日、米国を出発する。夫人のメラニア女史と娘のイバンカが同行するかはまだ確認されていない。

去年6月の第一回会談でも世紀の談判と喧伝されながら中味のない交渉に終わった。さて今回の第二回会談。中味のほどが気になるところだ。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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