干し芋の品質で勝負、茨城の農家の海外進出―中国メディア

人民網日本語版    2019年2月23日(土) 15時10分

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世界干し芋大会について、聞いたことがあるだろうか。茨城県の農家が2016年に現地で開催した国際的な干しいも業界の交流品評会のことだ。写真はスーパーの野菜売り場。

世界干し芋大会について、聞いたことがあるだろうか。茨城県の農家が2016年に現地で開催した国際的な干し芋業界の交流品評会のことだ。

同県中部の東側、太平洋に面した東海村は、水はけのよい肥沃な黒土で、サツマイモの栽培にとりわけ適している。現在、東海村とその周辺は日本最大のサツマイモ産地で、生産量は国内市場の約90%を占める。

照沼家は昔から同村で農業に従事し、現在の照沼勝浩さんで20代目になる。勝浩さんは一家の長男として、高校を卒業すると父親が創業した株式会社照沼勝一商店に就職した。当時の主業務は現地で生産された旬のサツマイモとスイカの卸売だった。

茨城県は北を福島県と接し、1990年代に福島の原子力発電所で事故が起こるたび、同村のサツマイモ販売は直接的な影響を被ってきた。勝浩さんは当時、「環境と安全は勝負の前提。地域ブランドを打ち出すより、個性的なブランドを立ち上げた方がいい」と考え、量と質のうち、質を選択した。

2004年、42歳になった勝浩さんは父親から事業を受け継ぎ、農業生産法人・照沼勝一商店の2代目会長になった。そしてこれを機に、ビジネスの才能を発揮し、さまざまな干し芋を打ち出し、小ぶりの干し芋で成功のきっかけをつかんだ。

それからまる12年、勝浩さんはさまざまなものを取り入れ、外に打って出て、経験を積み、繰り返し模索し、土壌の改良や病虫害対策に取り組んできた。生産量が大幅に減少した苦しい時期を乗り越え、ついに体系的な自然栽培の方法を見いだした。

自然栽培のサツマイモは収穫量はそれほど多くないが、甘みが強く栄養価が高く、より重要なポイントとして安全性が高い。栽培に工夫を凝らしただけでなく、勝浩さんは熟成、皮むき、消毒、陰干しなど各段階についてもテストを繰り返し、改良を続けた。

同商店は長年の努力の末、見た目、色つや、口当たり、栄養価のすべてにおいて優れた純天然のグリーン干し芋の開発に成功した。そうして市場で幅広く人気を集めるようになったが、2011年3月に東日本大震災が発生し、福島県の原発で放射能漏れ事故が起こり、東北地方一帯の農産品は危機に陥った。東北に近い茨城の干し芋もかつて経験したことのない苦境に立たされた。

勝浩さんは、「東海村の農家として、干し芋事業をダメにするわけにはいかない」と決意。国際協力機構(JICA)の協力を得て、13年にアフリカを視察したところ、タンザニアには各種のサツマイモ栽培に適した肥沃な土壌があり、気候も日本より温暖で乾燥して、干し芋作りにぴったりなことを知った。さらに現地では伝統的に干し芋が作られてきたこともわかった。

勝浩さんの説明によると、「現地で行われた国際貿易博覧会で、タンザニアの大統領が茨城県が出展した干し芋を見て、『日本の加工技術を利用して、おいしく栄養豊富な干し芋を作り、現地の雇用を拡大し、輸出加工産業を育成し、タンザニアの干し芋を海外にも広めたい』と発言した。自分はこれをきっかけに、市場調査を踏まえて、14年に現地に加工工場を作り、干し芋とドライフルーツの生産に乗りだした。同時にタンザニア農業省と提携し、現地でのサツマイモ栽培のテストも開始した」という。

また勝浩さんは、「タンザニアの芋類生産量は日本の3倍になる。現地の耕作では基本的に農薬と化学肥料を使わず、土壌はサツマイモの自然栽培に非常に適しているが、原始的な耕作方法を採用しているため、多くの面で改良が必要だ。また、現地で干し芋を作ろうとすると、日本には存在しない病虫害に悩まされることになる」と説明する。

日本国内生産の干し芋との競合を避けるため、勝浩さんはタンザニア産干し芋を今はまだ同国内でしか販売しておらず、そして欧州への輸出を計画している。だがタンザニア産の濃い黄色の、βカロテンが豊富な干し芋を日本に紹介したい考えもある。「日本人が慣れている干し芋を守るとともに、世界に通用する健康食品も作りたい」という。

勝浩さんによると、「茨城県の農家は第2回世界ほし芋大会の開催準備を進めている。2020年に中国や韓国など10数カ国・地域の干し芋製造者や干し芋ファンが茨城に集結し、各国のおいしい干し芋を味わい、健康や持続可能な開発理念について語り合う予定だ」という。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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