【CRI時評】イランに矛先を向けた「中東平和会議」は平和をもたらすのか?

CRI online    2019年2月14日(木) 21時40分

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 中東問題を話し合う閣僚級会議が14日、ポーランドの首都ワルシャワで閉幕した。会議は名目上、米国とポーランドの共催とされたが、実質的には米国の主導だ。「中東の未来の平和と安全」をテーマに掲げた会議だったが、実際の議題は「イランの中東地区に対する『脅威』をいかに抑制するか」に集中。...

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 中東問題を話し合う閣僚級会議が14日、ポーランドの首都ワルシャワで閉幕した。会議は名目上、米国とポーランドの共催とされたが、実質的には米国の主導だ。「中東の未来の平和と安全」をテーマに掲げた会議だったが、実際の議題は「イランの中東地区に対する『脅威』をいかに抑制するか」に集中。イランはこれに強烈な不満を示し、ロシアは出席を拒んだ。英国、フランス、ドイツなど欧州の大国の反応も冷たく、会議は実質的成果を得ることができなかった。

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 ポーランドによる今回の会議引き受けは、外部に「非常に意外」との念を抱かせた。なぜなら、ポーランドとイランの2国間関係に悪い影響を与えてしまうからだ。第2次世界大戦当時、数十万人ものポーランド人がナチス・ドイツの統治から逃れようとイランに渡った。彼らにとってイランは「生命の終着点」なのだ。現在もイランのある地方にはポーランド人の共同墓地が残されており、こうした過去からイランのザリーフ外相は「恩義に背いた」とポーランドを非難、今年イランで予定されていたポーランド映画祭もワルシャワでの会議をきっかけに取り止めとなった。

 では、ポーランドはなぜ、会議開催に踏み切ったのか。それは主に米国との緊密な関係を維持するためだ。長年、ポーランドとロシアの関係は比較的緊張した状態にあり、ポーランドは米国の力を借りてロシアの「脅威」に対抗したいと考えている。計画によると、米軍は今年4月、同国に新たな軍事基地を整備する見通しだ。ポーランドは、イラン問題で米国ににらまれるのを避けようとしている。現在、米国と欧州の関係は冷え込んでおり、ポーランドの鮮明な親米ぶりはポーランドと欧州連合(EU)との間に溝を生んだ。これは今会議がもたらしたもう一つの副作用と言えよう。

 イラン・欧州関係に分裂を引き起こすかもしれないこの会議は、イラン問題における米国と欧州の意見対立を解消することはできなかった。EUはイランのミサイル開発計画、他の中東諸国に対する武器輸出に不満を抱いているが、米国のような制裁措置や外交上の高圧的手段を取ることは望んでいない。むしろ救済政策を打ち出して欧州企業の対イラン貿易を後押ししている。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は会議に出席しておらず、これは「米国が公の場でイランを攻撃することをEUは支持しない」ということの表れだ。

 米国はこのワルシャワ会議でもイランに圧力をかける姿勢を見せつけ、直後に開かれるミュンヘン安全保障会議の「盛り上げ」を図った。そして自らに有利な世論環境をつくり上げている。米国は更に、会議を機に中東の盟友、とりわけイスラエルサウジアラビアに中東問題における米国の存在感を強烈にアピールしてみせた。長年、ホワイトハウスはイラン問題で強硬な姿勢を見せてきたが、中東の多くの盟友は米国がイランの「脅威」を抑制できる実質的措置をいまだ講じていないことに納得していない。米国はこの機会に盟友をなだめ、イラン問題におけるその強硬な態度を示したかったのだ。

 だが、ワルシャワ会議は多くの国に冷遇、ボイコットされ、イラン問題に対する国際社会の意見の食い違いが非常に深刻であることを再び世に示す結果となった。これは、米国がもくろむ「反イラン連盟」構築が短時間のうちには実現しそうにないことを予言している。(著者:察哈爾(チャハル)学会研究員、西北大学シリア研究センター研究員 王晋)

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