【CRI時評】ポンペオ米国務長官の中東1週間9カ国歴訪は、米国の中東戦略を前進させられるのか

CRI online    2019年1月15日(火) 19時35分

拡大

 米国のポンペオ国務長官は15日、ヨルダン、イラク、エジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、オマーン、クウェートの9カ国歴訪を終えた。米国務省の発表によれば、ポンペオ長官のこのたびの歴訪の目的は、同地域の盟友に対して、米国は中東から撤退せず、共同で「イラ...

 米国ポンペオ国務長官は15日、ヨルダン、イラク、エジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、オマーン、クウェートの9カ国歴訪を終えた。米国務省の発表によれば、ポンペオ長官のこのたびの歴訪の目的は、同地域の盟友に対して、米国は中東から撤退せず、共同で「イランの脅威」に対抗すると保証することだった。1週間に及んだ歴訪中、ポンペオ長官はこの目的を巡り、中東各国の指導者との意思疎通と調整に大いに力を入れた。

 ポンペオ長官は最初の訪問国であるヨルダンで、同国の指導者と相互協力の拡大とシリア問題、さらにヨルダン・イラクの貿易関係の問題を重点的に討論した。第二の訪問地としたイラクは当初、ポンペオ長官の訪問予定地ではなかった。長官が突然の訪問を行ったのは、主にイラクの指導者と“イスラム国”をいかに徹底的に壊滅させるかと、米国・イラクの経済関係などを議論するためだった。ポンペオ長官は、米国はシリアからの軍撤退を計画しているが、シリア領内のテロリストを打倒することに影響はなく、米国は軍の完全撤退前にテロリストを「徹底的に消滅」することを保証すると説明した。

 ポンペオ長官はエジプトでは、イラン、ガザ地区、反テロリズムという鍵となる問題を重点的に語った。長官はバーレーンに対しては、イランを共同で押さえ込むための中東戦略同盟に参加するよう誘った。カタール、サウジ、クウェートなどの国では、湾岸協力会議の結束の重要性と、同会議がイラクの拡張に対抗し、米国が主導する中東戦略同盟を実現させることに結びつくことを強調した。

 これらから、「シリア」「イラン」「湾岸協力会議」がポンペオ長官の中東9カ国歴訪のキーワードだったことが分かる。歴訪の目的は、米国現政権の中東政策の配置をより確固かつ強固なものにして、米国の中東地区における主要な戦略意図の順調な実現を確保することだった。

 米国現政権は、米国と中東の同盟国の関係を回復することを中東政策の重点としており、米国が中東同盟国の中で主導的地位を占め、中東同盟国の経済の安全維持とテロリズム打倒を率先・支援し、いわゆる「テロリズムを支持、あるいはテロリズムに寛容であり、地域の安定を破壊する国家」に反対すると、繰り返し表明している。米国は中東で各国との個別の関係にもとづき、イスラエルとは米国を中心とする「第1サークル」、サウジとは「第2サークル」、カタール、ヨルダン、エジプト、イラク、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーンとは「第3サークル」という、関係のネットワークを構築している。米国は、ネットワーク内の同盟国が平和を維持し協力を進め、この関係ネットワークを利用してイランを集団で封じ込め打撃を与えることを望んでいる。

 イランを孤立させる問題で、これらの国と米国が完全に一致しているわけでない。サウジとアラブ首長国連邦、バーレーンの3カ国は、米国を支持するだろう。しかし、カタールとオマーンはイランとの関係が悪くなく、旗色をはっきりさせることをあまり望んでいない。クウェートは狭い海を挟んでイランに面している国であり、当然ながら自らの安全を考慮せねばならない。したがって、各国の利益を出発点とすれば、中東各国がイラン問題において、米国と心を一つにすることは、おそらく難しいだろう。それとは別に、カタールとサウジという隣国間の外交危機とカタールの石油輸出国機構(OPEC)脱退の問題は、湾岸協力会議の内部結束に大きな痛手を与えた。回復は容易なことでない。米国の中東戦略の意図実現は依然として多くの壁に直面している。(CRI論説員、外交学院教授、中東研究センター主任 高尚濤)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携