中国メディアが日本の刀鍛冶を紹介―精神性や伝統技術を強調、従来型「軍国主義のシンボル」の理解と一線画す

Record China    2019年1月8日(火) 23時40分

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中国メディアの新浪網は日本刀(写真)の刀鍛冶の現状を通して、日本刀に込められた精神性や伝統技術を強調する記事を掲載した。これまで多かった、日本刀を「軍国主義にともなう残虐性のシンボル」と見なす記事とは一線を画している。

中国メディアの新浪網は2019年1月4日付で、日本刀刀鍛冶の下村房宙(しもむら ふさひろ)さんを題材に、日本刀づくりの現状を紹介した。中国ではこれまで、旧日本軍人が持っていた「軍刀」のイメージが強く、日本刀が軍国主義にともなう残虐性を示すシンボルのひとつとして扱われることが多かった。新浪網は従来型の紹介とは一線を画し、日本刀が持つ精神性や伝統を持つ刀鍛冶の心意気を紹介した。

記事は、日本刀づくりそのものについては、「数百年の歴史を経て、現在は没落に向っている」などと、売れる本数も極めて少ないなど、経済活動としては割に合わない仕事になっていると主張。その上で、下村さんが作刀に極めて真剣に取り組む様子を紹介した。

まず、日本刀の刀鍛冶は白い衣装を着て仕事をすることや、作業場は縄で囲って結界とすると紹介。白い衣装は純粋さの紹介であり、結界は「邪悪な力を防ぐもの」と紹介した。

結界などについては「迷信のようにも思えるが」とした上で、下村さんはこれらの伝統を守ることは必要と信じており、「このようにして初めて、本当の武士の刀を作ることができる。日本刀とは単純な武器ではありません。精神上の意義が極めて大きなものなのです」と下村さんの言葉を紹介した。

記事は、「日本刀は確かに、日本において武器としての意義を大きく超越している。文化において、独特の地位を持っている」と紹介。日本刀は「守り刀」とも呼ばれており、「人々はこの刀が、持ち主が病気や天災、対人関係での災難に会うことから守ってくれると考えている」と論じた。

日本刀づくりそのものについては、いわゆる鍛造(たんぞう)の技術を紹介。鉄を熱して折り畳みながら打つので、最終的に鉄が3万2000層も重ねられることになるが、重ねすぎても日本刀の霊力は失われることになるなどと、日本刀づくりには極めて厳格な段取りがあることを強調した。

また、日本刀は鍛造の過程で鉄を水に入れて急冷する作業を繰り返す。記事は「簡単であるように見えるが、極めて精密な判断力が必要だ。一回のミスも、徹底的な失敗につながる」と、作業に求められる技術力のレベルの高さにも触れた。

記事は、伝統的な日本刀の刀鍛冶は急速に減っていると紹介。日本刀の取引額が減っていることにも触れた。その大きな原因としては、現代的な技術で作られる鉄製品に比べれば、日本刀は極めて高価になってしまうとの見方を示した。

記事はその上で、日本刀とは手に入れた人の「心と魂の需要を満たすもの。ひとつの家族にとって数百年の家宝となる。刀は古くからの伝統と切り離せない一部分。私は武士の刀は現在の日本人の性格と行動方式にとって大切な基礎になっていると信じます」と、下村さんの言葉を紹介した。

中国では日本刀が「残虐性のシンボル」と見なされることが多かった。日中戦争期に日本軍人が「日本刀で中国人100人斬りをした」などと紹介されたり、「反日ドラマ」で「旧日本軍人」が軍刀で中国人を殺すシーンが繰り返されたことも影響してきたと考えられる。

しかし、2018年ごろからは、日本刀の伝統や美しさ、日本文化における日本刀の位置づけなどを、「客観的」に紹介する記事も登場するようになってきた。日本旅行する人の増加にともない、日本の伝統文化に対する関心が高まったことや、日本におけるいわゆる「日本刀ブーム」で、日本刀の収蔵品としての価値が注目されるようになったと考えられる。

4日付の新浪網記事は、現役の日本刀の刀鍛冶を通じて日本刀の「精神性」や日本刀づくりに込められた「伝統技術」を強調している点で、従来型の日本刀紹介記事とは一線を画す、日本文化の紹介時記事になっている。(翻訳・編集/如月隼人

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