日本全国で増加中!日本人が正体を知らなかった中国の料理店、その実態を探る

Record China    2019年1月1日(火) 18時30分

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「沙県小吃」「小肥羊」――この文字を見ても、中国で人気の飲食店チェーンと気づく日本人は少ないのではないだろうか。近年、日本ではあまりなじみのないチェーンや地方料理店の出店が増えている。

「沙県小吃」「小肥羊」――この文字を見ても、中国で人気の飲食店チェーンと気づく日本人は少ないのではないだろうか。近年、日本ではあまりなじみのないチェーンや地方料理店の出店が増えている。その背景には何があるのか。商売として成り立っているのか。今後、どのような状況が出現するのか。関係者への取材も交えて探った。

【日本人にとって“異邦人”が繁華街に進出】

東京23区内の主要駅のひとつである池袋駅の北口から歩いて1~2分の場所に「張亮麻辣燙」という料理店がある。麻辣燙(マーラータン)とはいわゆる四川料理の一種。舌がしびれる辛さが特徴の鍋料理だ。



店の前にいた20代の日本人男性に、この店を知っているかと聞いてみた。たまたま、同じビルにある別の店を利用しに来ただけで、どんな料理を出す店かも知らないという。中国料理の店と伝えると、「『麻』の字があるから、麻婆豆腐系ですかね?」という答えが返ってきた。

中国でなら「麻辣燙」と聞けば、だれもが分かるだろう。まして「張亮麻辣燙」は人気のチェーンだ。どんな料理かも、価格帯も見当がつく。だから、多くの人が安心して入店する。しかし日本では、料理名からもチェーン名からも「ブランド効果」は望めない。まさに“見知らぬ異邦人”のような店が、東京の繁華街に進出しているわけだ。

在日中国人をターゲットにするビジネスモデル】

「張亮麻辣燙」池袋店の店員に話を聞いた。客の8~9割が中国人で、留学生のように日本に長期滞在する人が特に多いという。池袋には中国人が多く住んでいるため、本国の味を提供すれば来店者も多いだろうと考えて出店した。日本人客の多くはサラリーマンで、常連もいる。ただ、日本人はしびれる辛さのマーラータンが不慣れなようで、客数としては増えていない。

池袋からJRで2駅離れた高田馬場では、今年(2018年)6月に「沙県小吃」という店がオープンした。福建省三明市沙県をルーツとした庶民派食堂で、中国全土で6万店以上を展開する大規模チェーンだ。

店長の毛偉明さんは沙県出身で現在27歳。7年前に留学生として来日した。日本に故郷の味を提供する店がなかったため、再現しようと思ったのがきっかけだった。「沙県小吃」のチェーンは国有企業・沙県小吃集団有限公司が運営しており、開店にあたって毛さんは、沙県政府などの支援を受けることができた。

日本人客もよく訪れるが、やはり主力は中国人だ。それも留学生が大半を占めている。店は繁盛している。オープンして半年にもならないのに、埼玉の「西武園ゆうえんち」で11月10日に2店舗目を開店させた。



この高田馬場も、中国人が多い地域だ。いずれの店も、中国人を集客することを念頭に場所を決めた。「沙県小吃」に日本人客がより多い理由は刺激的な味付けが少ないためとも考えられるが、いずれの店も中国人を主なターゲットにするビジネスモデルが成功した点で同様だ。

【在日中国人の懐具合の向上で新たな状況が】

新たなタイプの中国料理店が増えている原因について、全日本中華料理・ホテル支援協会の程顕斉会長に話を聞いた。程会長は来日25年で、飲食店でのアルバイト、飲食店経営など、長年飲食業界に携わってきた。日本での中国料理の発展を見てきただけに、日本における中国料理界の第一人者とも呼ばれる人物だ。

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程会長は「原因は大きく分けてふたつあります」と指摘した。まずは在日中国人の経済状況がよくなったことだ。日本で就職して一定期間が経過すれば、出費をさほど気にせずに外食を楽しめるようになる。さらに、中国の経済発展の恩恵で、中国人留学生の懐事情も以前に比べてよくなった。実家からの仕送りがあるので、それほどあくせくとアルバイトをしなくても大丈夫という中国人留学生も、さほど珍しくなくなったと指摘する中国人もいる。

中国人にはもともと、日本人と比べて外食を好む傾向がある。しかしかつての中国人留学生は、とにかく「苦学生」だった。そのため、なかなか外食というぜいたくはできなかった。それが近年は懐事情がよくなり、かなりの頻度で外食できる留学生が増えてきたという。

【日本進出を加速させる中国の国内事情も】

現在、都内だけでも前述の2店以外に、火鍋の「海底撈火鍋」、「小肥羊」、小籠包の「南翔小籠」、香港の点心専門店「添好運」、アヒル料理の「周黒鴨」など、多くの中国の人気店、伝統食の店が進出している。東京だけではない。「張亮麻辣燙」は大阪、「小肥羊」は名古屋、大阪、北海道、沖縄にも出店している。新しいタイプの中国料理店の増加は、全国規模だ。

程会長は、中国国内の事情にも言及した。店舗数が飽和状態で競争が激しいため、飲食店チェーンの多くが海外に目を向けはじめたという。日本も対象のひとつで、今後は四川や東北、山東、雲南など中国各地の特色ある料理の店が日本に「上陸」するという。

【在日中国人が味の『エバンジェリスト』に】

以前ならば、店が「本場の味」を提供したとしても、客の日本人の反応は「変わった味だね」程度だったかもしれない。花椒(ホアジャオ)など中国では一般的な香辛料が多く使われていた場合、強い刺激への違和感だけが印象に残ってしまったかもしれない。

しかし、主に中国人客を狙って営業する店に、中国人に連れられて訪れる日本人もいるという。同じテーブルについた中国人に「この味、この味なんですよ」と太鼓判を押されれば、有難みも増すというものだ。「なるほど」と納得する人も増えるだろう。

在日中国人の増加と彼らの経済力の向上で、日本人が馴染んでいない中国の味を提供する店の経営が成り立ちやすくなった。そして、自分が慣れ親しんだ味を知ってもらいたくて、そんな店に日本人の知人を連れてくる中国人がいる。在日中国人は、日本人に新たな味覚の世界を紹介する「エバンジェリスト(伝道師)」の役割も果たしているようだ。(取材/内山

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