日本の経済学者の著書を中国の出版社が推薦、「参考にすべき点多い」―中国メディア

Record China    2019年4月11日(木) 11時10分

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9日、中国メディアの中国経済網は、日本の経済学者の著書「格差社会―何が問題なのか」を取り上げ、「中国が参考にすべき点が多い」と紹介した。写真は中国の下町。

2019年4月9日、中国メディアの中国経済網は、日本の経済学者の著書「格差社会―何が問題なのか」を取り上げ、「中国が参考にすべき点が多い」と紹介した。

記事はまず、「高額な学区の住宅費、塾代の高騰、子どもをガチガチに縛る親たち、これらの背景には『階層の固定化』がある」と指摘。「最近、中国の出版社・新経典文化が日本の経済学者・橘木俊詔氏の著書『格差社会―何が問題なのか』(岩波書店)の中国語版を推薦した。多方面から日本の『格差』の現状が分析されており、中国も参考にすべき点が多い」と紹介した。

同著は、低所得労働者の増大、新しい貧困層の出現、機会の平等が奪われ、教育や雇用形態などあらゆる場で格差が拡大する中、その原因は経済構造にあると論じている。著者の橘木氏は、「階層の固定化を防ぐには教育が重要」としながらも、「子どもが良い教育を受けられるかどうかは、親の職業と収入に左右される」と指摘している。

記事は、「日本の女性と若者の低所得問題は深刻だ。日本の非正規労働者は正社員と同内容の業務をしながら収入は彼らよりも低いという現実を受け入れざるを得ない状況にある。解決方法は同額の報酬制度の導入や年功序列制度など現行の制度に代わる制度を打ち出すことだ」としている。

記事によると、中国社会科学院社会学研究所の李春玲(リー・チュンリン)研究員は、「『階層の固定化』は不公平、不公正を生み出し、社会の安定にマイナスの影響を与える。教育の不平等は深刻化しており、農村地域の子どもが有名大学に合格するのは20年前よりさらに難しくなっている」と指摘した。

李研究員は一方で「中国政府は収入分配制度の改善、腐敗行為の取り締まりを強化したことで、社会の平等化を図っている。教育の分野でも農村地域の教育への投資や、有名大学の推薦枠を農村地域へより多く提供するなど対策を講じてきた。労働市場においても、平等な競争環境を整えるといった政策を実施している」と現在の中国政府の政策実施状況について説明している。

記事は、「李研究員も橘木氏と同様『教育こそ格差問題のカギである』という考えを持っている」とし、同研究員が「農村の貧困家庭の子どもが有名大学に受かれば運命は変わる。農民工も技術訓練を受けることで中間所得層になれる。政府は個人の戸籍や性別などが身分に影響しないような体制を作り、社会の流動性を高めるべきだ」と指摘したことを紹介した。

そして最後に、「同著は中国がどのように平等な社会を作り上げ、格差をなくすにはどうしたらいいか、ヒントを与えてくれている」としている。(翻訳・編集/和田)

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