<羅針盤>京都・祇園界隈、さらに賑やかに=南座再開業と弥栄会館改修を喜ぶ―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年12月2日(日) 6時50分

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お寺や神社が多い京都は自然に恵まれ伝統的な祭りや催しも多く、四季を愛でることができる。名建築で知られる南座が耐震工事のため3年近くの休館を経て今年11月初めに再開場したのに続いて、「弥栄(やさか)会館」がホテルとして改修されることになった。写真は京都。

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京都で育った私は、京の町並みや風情に温かさを感じる。お寺や神社が多い京都は自然に恵まれ伝統的な祭りや催しも多く、四季を愛でることがたやすくできる。新幹線が東山トンネルから出た途端に広がる瓦屋根の民家の風景に、いつ行ってもやすらぎを憶える。

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こうした京都で四条大橋そばに建ち、名建築で知られる南座が耐震工事のため3年近くの休館を経て今年11月初めに再開場したのはうれしいことである。400年の歴史を誇る現存する日本最古の劇場で、京都だけでなく日本の歌舞伎はじめ伝統芸能の中心的な存在だ。

こけら落としとなったのは松本幸四郎さん親子3代の襲名披露(11月)を含む2カ月連続の「吉例顔見世興行」。来年には坂東玉三郎特別公演(3月)や花形歌舞伎(9月)などが予定されている。このほか松竹新喜劇を正月恒例にし、バーチャル歌手「初音(はつね)ミク」と中村獅童さんが共演する「超歌舞伎」が躍動する「超歌舞伎」(8月)など未来型の舞台も盛り込むという。さらに、来年春の「都をどり」も南座で開催されるというから祇園界隈は一段と賑やかになりそうだ。京都を訪れる外国人観光客にも魅力のスポットとなるであろう。

一月は初詣、二月は節分、天神の梅花祭、三月は涅槃会、四月は都をどり、五月は葵祭、鴨川、七月は祇園祭、八月は大文字、十月は時代祭、十二月は顔見世で始まり、最後は三十一日のお寺参りで新しい年を迎える。京都はまさに文化の凝縮した町なのである。

さらに帝国ホテルが2020年をめどに祇園に新たにホテルを開業するとの報道も、うれしいニュースである。日本有数の花街である祇園の中心地に立つ、昭和初期建築の国の登録有形文化財の「弥栄(やさか)会館」をホテルとして改修し、クラシックな宿泊施設として活用するという。不足する高級ホテルの需要を取り込むのが狙いのようだ。

祇園界隈は内外の観光客を惹きつけてやまない。四季折々におりなす文化をいつまでも抱擁する京都であってほしいものである。

<羅針盤篇33>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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