今週金曜日（30日）、20カ国・地域（G20）首脳会合は正式に「アルゼンチン時間」を迎える。これは今年度の世界において最も重大かつインパクトを持つ出来事だ。

　2008年の世界金融危機勃発後に誕生したG20サミットメカニズムは、「10年かけて磨き上げられた」と言える。現在の世界経済の減速、世界経済の発展における不確定性とリスク要因の拡大、一国主義や保護主義そして反グローバル化思想が国際秩序に衝撃を与える現状に対し、G20サミットメカニズムが初心を忘れず、マクロ的協調と協力を先導する作用を再び発揮できるか、高い関心が寄せられている。

　2008年の金融危機が引き起こした災難はわれわれの記憶にはっきりと残っている。国際通貨基金（IMF）は2009年の世界経済成長予測を3.8％からマイナス1.3％に引き下げた。世界経済を救うため、G20は積極的に世界各国の経済刺激策実施を調整し、多国間開発銀行と金融機関を通じ2350億ドルの借款増額を獲得して「大恐慌」「近隣窮乏化」経済政策および保護主義措置の横行という局面を回避。それと同時に自らを「世界経済協力の主要フォーラム」としたのだ。

　当時そしてその後のG20サミットメカニズムの危機対応の成功は、メンバー国の幅広い代表性、メンバー国指導者の「同じ船に乗った仲間」「栄える時も衰える時も皆同じ」との共通認識、マクロ政策における各国の積極的協調、開放型協力という確固とした行動を源とする。G20は国連安全保障理事会の5つの常任理事国、BRICS、G7メンバーを網羅している。世界で最も主要な経済体が行動を一致させさえすれば、どんな難題でも解決できると言える。2008年と2009年の3回のサミットにおいて、各国の指導者は自国の利益を追求すると同時に、多国の利益も考慮に入れた。彼らは競争の中に協力のチャンスを探し求め、協力の中でウィンウィンを勝ち取ろうとしたのだ。

　次のデータに目を向けてみよう。2009年の新興市場の経済成長率はわずか2.7％だったが、2010年には7.6％に達した。その重要な推進力となったのが、中国経済が2010年に実現した10.4％の高度成長だ。当時、世界の経済成長に対する中国の貢献率は50％以上に達した。

　過去のG20首脳会合において、中国は一貫して多国間主義、パートナーシップ精神の発揚を推進、堅持し、開放型の協力の中で共に勝利を勝ち取ろうと努めてきた主力だ。2016年のG20杭州サミットで習近平国家主席はG20が過去の危機対応メカニズムからグローバル経済ガバナンスの長期効果型メカニズムに転換することを提唱し、「経済グローバル化の今日、世間から切り離された孤島など存在しない」「協調、協力は必然の選択だ」「『パートナーシップ精神』はG20にとって最も尊い財産であり、各国が共同で世界的課題に対応する上での選択肢でもある」と強調した。

　人々は「バックミラー」を通して過去10年間のG20とそのテーマ、そして直面した課題を振り返り、今年のアルゼンチンサミットは過去のどの時期よりも「協調、協力の着実な行動、ウィンウィンのパートナーシップ精神」の重要性が増しているとの思いを募らせる。

　世界貿易機関（WTO）の最新データによると、今年5～10月までにG20メンバー間で取られた貿易制限措置は40件、影響が及んだ貿易の規模は4810億ドルに上った。これは2012年以降の関連データの中で最高の数値だ。

　G20サミットは「機構」であり、全ての問題を即座に解決できる「即効薬」ではない。2013年、政治的な安全問題がG20サンクトペテルブルクサミットにのしかかった際、あるメディアは「今週開かれるサミットで、世界はG20の指導者が団結、協力の意欲を再燃させることを必要としている。会って雑談するだけで価値があるのだ。相互理解が多ければ多いほど想定外のリスク削減につながる」と指摘した。

　今回のサミットでもこの指摘は通用すると言えよう。（CRI論説員　関娟娟）