大統領選で親中派敗北のモルディブと中国に早くも亀裂…「合意を再検討」「無責任だ」と応酬

Record China    2018年9月27日(木) 9時50分

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モルディブの選挙でヤミーン大統領が敗北し、同大統領の親中政策を批判してきたソリ氏が当選。「中国との合意を再検討」「無責任」との応酬が発生するなど、早くも両国の亀裂が目立ち始めた。

インド洋の島国のモルディブでは、親中派の現職、ヤミーン大統領が大統領選で敗北し、野党統一候補のソリ氏が当選を決めた。ソリ氏の盟友であり最大野党のモルディブ民主党のナシード党首(元大統領)は選挙戦の勝利を受け「中国とのすべての合意について再検討する」などと発言。一方、中国外交部の耿爽報道官は26日の記者会見でナシード党首の発言を「無責任だ」と強く非難するなど、早くも両国の亀裂が目立ち始めた。

ナシード党首は2015年に反テロ方違反罪で有罪判決を受けたことにより大統領選の立候補が認められなかったため、盟友のソリ氏が立候補して当選した。

ヤミーン大統領は中国との関係構築を積極的に進めた。しかし対立陣営から「中国の手先」と強く批判されたことが、選挙戦敗北の大きな原因になったとされている。

ナシード党首もしばしば、ヤミーン大統領の親中政策を非難。1月にはスリランカで、「(モルディブの)少なくとも16の島を中国の関係者が賃借し、港湾開発やインフラ整備を進めている」「これは植民地主義だ」「どの国に対しても、また外国からの直接投資に対しても反対はしないが、自国の主権の放棄には反対する」「モルディブの対外債務の約8割は中国が占めており、モルディブが返済に行き詰った場合、島やインフラ設備をさらに中国に引き渡さざるを得なくなる可能性がある」などと発言した。

中国外交部の耿報道官は25日の記者会見では、ソリ氏の当選を祝賀し、「モルディブと共に、伝統的な友好を固めていき、相互利益の協力を深め、両国と両国人民の幸福を築きたいと願っている」と穏便な発言に終始した。

しかし26日の記者会見では、ナシード党首がインドのメディアの取材を受け「中国とモルディブが行うプロジェクトはビジネスとしてひとつとして成立しない。発展途上国に不可能なプロジェクトを押しつけてはならない」などとして、「中国との合意はすべて再検討する」と主張したことに強く反発。

耿報道官は「中国とモルディブの協力が成立するかどうか、両国に利益をもたらすかどうか、最終的な発言権は両国の人民にある。個別の人物が否定すべきものでない。私は個別の人物がいつも、このような無責任な発言をすることを深く遺憾とする。理解できない」と、名指しはしなかったがナシード党首を強く非難。

その上で、「両国の協力は平等で自主的に築かれたもので、共に利益を得るという土台の上に市場の規則と法律を厳格に順守したものだ。個別の勢力が政治目的により任意に中国の利益を損ねるなら、中国は断固として反対し、中国資本企業の合法的な権益を断固として保護する」と述べた。

ナシード党首はモルディブで初めて民主的手続きにより選ばれた大統領として2008年に就任。しかし2012年に職権乱用を理由に刑事裁判所判事の逮捕を命じると野党などが反対運動を展開し、事実上のクーデターにより辞任。15年には判事逮捕を不当として反テロ法違反で逮捕され、16年に病気治療を理由として出国を認められてからは、海外生活を余儀なくさせられてきた。

耿報道官の発言はナシード党首との「敵対関係」を表明するものだった。しかし今後の情勢次第では、ナシード党首が帰国し、何らかの公職または公職に準じる立場で国内活動をする可能性も大いにある。ナシード党首はこれまでも、中国と対立関係にあるインドとの提携を主張している。

中国がインド洋への進出に力を入れているだけに、中印両大国の確執の影響を受け、モルディブの政情が極めて不安定になる可能性も否定できない。(翻訳・編集/如月隼人

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