外資系企業の中国撤退、「そんなに簡単なことではない」と米紙

Record China    2018年9月26日(水) 16時40分

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26日、米紙ニューヨーク・タイムズはこのほど、中国からの外資系企業の撤退について「そんなに簡単なことではない」とする記事を掲載した。写真は日系企業が多く進出している中国・昆山市。

2018年9月26日、中国紙・環球時報(電子版)によると、米紙ニューヨーク・タイムズはこのほど、中国からの外資系企業の撤退について「そんなに簡単なことではない」とする記事を掲載した。以下はその概要。

米国と中国で悪化する貿易戦争は、企業に対し、中国から撤退しカンボジアに工場を設立する方向へプレッシャーを掛けている。だが、ここへ移り住む人は皆、水牛に対処しなければならない。この大きな角を持つ牛たちは、クメール・アメリカン・フレンドシップ・ハイウエーを、苦しそうな息を吐きながらゆっくりと走っている。

この140マイルの埃にまみれた道は、プノンペンの工場と港湾都市のシアヌークビルを結んでいる。水牛だけが唯一の潜在的な障害ではない。朝夕のラッシュアワーには徒歩やバイクで家に帰る工場労働者で道が一杯になる。工場の所有者にとって、混雑した道路は納期の遅れを招く。スポーツ・ファッションサングラスブランドのオークリーのためにマイクロファイバークロスやバッグを生産するピエット・ホルトン氏は「現在のカンボジアは25年前の中国だ」と語る。同氏は製品をプノンペンの工場から市場に出すために、貨物航空を利用している。

トランプ大統領による中国製品への関税は、多くの企業に、より低コストなベトナムやバングラデシュ、エチオピアなどに移転して生産すること検討させている。だが中国からの撤退は簡単ではない。ジャケットやジーンズのジッパーやリベットからスマートフォンに使用されるミネラルまで、現在の消費財に含まれる多くの原料が中国で製造または加工されている。

中国には、信頼して仕事を任せることができ、数が途絶えることのない労働者があり、サプライヤーと組立工場や港を結ぶ信頼できる道路と鉄道がある。対照的に、ベトナムやカンボジアのような国では、労働者を訓練する必要があり、多くの企業はゼロから始めなければならない。プノンペンのバレエシューズ製造工場の経営者、エリ・ボブロビツキ氏は「私がここに来た時、それは悪夢だった。ピンクのバレエシューズや黒いジャズシューズを米国などに運ぶ場合、中国よりも少なくとも1日か2日は余計に必要だ」と語っている。彼の工場に着くためには、訪問者は泥だらけの道を進まなければならない。

企業は、貿易戦争のためだけに中国を離れることを望んでいるのではない。中国では近年、労働者の平均賃金が上昇し、中国の平均的な工場労働者は年間約1万ドル(約113万円)を稼ぐ。それに対し、カンボジアの衣服製造工場の労働者の最低賃金はその約5分の1だ。だが、関税引き上げが緊急性を高めている。それでも、中国は依然として効率的なビジネスの場だ。物流ネットワークの規模は大きく、速度は速い。過去30年間に、中国は470万キロの高速道路を建設し、世界の上位50の港のうち13が中国にあり、上位5つの港のうち3つが中国にある。中国の完全な製造能力は他に類を見ないものだ。製造業付加価値と呼ばれる生産量の指標によると、中国の生産量は日本と米国を合わせた量とほぼ同じだ。

米国の新興企業ブリリアントの共同設立者であるアーロン・エミュー氏は「サプライチェーン全体が中国を拠点としている。もしわれわれが動くのであれば、中国から部品を調達し、それを別の場所に輸出しなければならない」と話す。ブリリアントのデバイスには700以上の部品があるが、そのほとんどの供給源は中国にある。同氏は「中国からの転出は、純粋にコストの問題ではない。それが可能なのかどうかだ」と語っている。(翻訳・編集/柳川)

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