最近の中国世論における日本に対する新たなイメージ―シンガポール紙

Record China    2019年7月8日(月) 6時30分

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6日、シンガポール華字紙の聯合早報は、近年、中国世論では日本に対して新たなイメージができているとする記事を掲載した。写真は秋葉原。

2019年7月6日、シンガポール華字紙の聯合早報は、近年、中国世論では日本に対して新たなイメージができているとする記事を掲載した。

記事によると、その新たなイメージとは「生態環境が良く、製品品質が高くて匠の精神があり、高齢国家で無欲社会、二次元と各種のサブカルチャーが流行していて、社会的ストレスや経済面で困窮しており、科学技術研究と高等教育における国際的な活躍に不足していて、外交力がなく、政治に無関心で、日常生活を重視している」というものだという。

こうした新たなイメージについて、記事は特に3つの点が注目に値すると分析。その1つが「これらのイメージは日本社会の真実を映し出しており、現代日本を観察する上で重要な切り口となる」こと。半世紀以上裕福な社会レベルを保っている日本は、今やポストモダン社会に入っていると分析した。そして「中国世論における日本へのイメージの多くは、ポストモダン社会と密接な関係がある」としている。

その一例が「社会心理と社会文化」で、少子高齢化ゆえに経済が成長せず、社会は活力に欠け、安定を求めて閉鎖的になると分析。社会保障や健康、心理問題、貧困化などが日本では顕著となっており、同時に新たな世代の価値観や精神世界の変化で、日本の「ポストモダン」がより濃厚になっていると論じた。

また、「サブカルチャーの流行は、若い世代の独特な精神世界を反映しており、引きこもりやいじめ問題などもポストモダン社会の日本人の心の問題をよく表している」と分析。そのため、「癒し系と呼ばれる日本のドラマなどは、現代日本を観察する上での重要な窓口となっている」という。記事は、癒し系の流行は「社会保障の不足や経済成長が乏しい中で、日本社会は心理的な焦りや困惑、無力感に対応する必要があるからだ」と論じた。

記事は、日本に対する新たなイメージで注目できる別の点は「日中関係の変化」だと紹介。1990年代以降、日本経済は低迷し、ハイテク技術の優位性が顕著ではなくなり、外交においても振るわないなどの現実に加え、中国の国力と民族の自信が高まるにつれ、「中国人は日本を同じ高さで正視できるようになり、日本発展の問題と限界について、客観的な判断ができるようになった」という。

また、日本の音楽や映画、サブカルチャーが中国でも流行していることや、中国人が日本の環境、高品質製品、責任感ある態度、細かなサービスなどを高く評価していることは、日本に対する良いイメージを抱くようになったことを示しており、「戦後の平和と繁栄という日本に対する新たなイメージは、戦争の恐怖という古いイメージを調整するものとなっている」と論じた。

そして記事は、「このような変化が起きているので、日本は中国の台頭を正視し、中国に対する優越感や対抗心を捨てるべきで、中国は現在の有利な状況を利用して対日外交を展開し、相互安全や相互信頼を築くべきだ」と主張した。

3つ目は「日本に対する新たなイメージは中国社会の変化を反映しており、相応の準備をすべき」ということ。日本の人口問題、環境問題、貿易摩擦、製品品質、優れたサービスなどは、中国自身が関心を持っている問題でもあり、近年の米中貿易戦争や中国政府が進める人口政策などは、日本に対する中国世論の新たなイメージに対応したものだという。

最後に記事は、「日本のサブカルチャーが中国で流行する背後には、日中両国の社会状況と新世代の生活スタイルが似てきていることにある。ポストモダンの日本が経験している変化と各種の問題は、中国にとって参考と警告になっている」と結んだ。(翻訳・編集/山中)

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