<直言!日本と世界の未来>3選の安倍首相、“経済最優先”で改革断行を―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年9月23日(日) 5時0分

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安倍晋三首相が自民党総裁選で3選を果たし、向こう3年間の政権運営を託されることになった。長期政権となる安倍政権には内外の難題解決へ抜本的な対策を断行してほしいものである。写真は総裁選討論会(9月14日=日本記者クラブ)。

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安倍晋三首相が自民党総裁選で3選を果たし、向こう3年間の政権運営を託されることになった。長期政権となる安倍政権には内外の難題解決へ頑張ってほしい。口先だけではない抜本的な対策を断行してほしいものである。

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総裁選ではもともと現職首相は有利な上に、9月には台風21号や北海道地震などが発生したため、安倍氏が圧勝すると見られていたようだ。大半の派閥の支持も得て議員票も盤石だったので予想通りの勝利と言えるが、石破茂氏は地方党員票を中心に善戦したと思う。

首相は記者会見で「最優先は経済再生だ」と語ったが、まさに待ったなし。安倍政権はこれまで基礎的財政収支の黒字化目標や社会保障の抜本改革の議論を先送りしてきた。アベノミクスの大胆な金融緩和や日銀・年金基金による株・国債購入、機動的な財政出動は、円安・株高などの効果をもたらした半面、企業経営や家計、株式・債券市場にさまざまな副作用を与えている。生産性や潜在成長率を高め、財政健全化と両立させてほしい。今後の3年間で通常の経済政策に戻す必要がある。

総裁選で安倍首相は消費税率を2019年10月に予定通り10%に引き上げる方針を示し、税収増の一部を子育て世帯や教育に振り向けると説明。同時に「すべての世代が安心できる社会保障制度へと3年で改革を断行する」と訴えたが、実行が待たれる。

一方、安倍首相は「憲法改正案を通常国会に提出したいと」意欲的だが、改憲はまだ国民的な賛同を得るには至っておらず、時期尚早ではないだろうか。内外情勢が厳しい中で、政権のエネルギーを「経済」に集中してほしい。

財務省文書改ざん問題や、森友、加計問題で傷ついた信頼の回復が先決であろう。首相は長期政権のおごりへの批判を念頭に「私にとって最後の総裁選。自ら省みて改めるべき点は改め、謙虚に政権運営に当たる」と語ったが、その言やよし、是非実践してほしい。

もちろん、すべての国民を満足させられる政策は考えられないが、少なくとも従来「安倍ちゃん大好き」と言っていた人々を、ファンとして呼び戻す、政策、言動、行動を通して、いわゆる透明性と説明責任を果たしてほしい。

<直言篇62>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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