<コラム>日本は今のところ悪役になっていません!日本では考えられない中国ドラマのジャンル

岩田宇伯    2018年8月19日(日) 8時30分

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日本では従来、香港・台湾作品しか知られていなかったのだが、近年、BSやCS放送を中心に中国産のドラマがいくつかラインナップされ、徐々に視聴する方が増えてきた。それでもまだ韓国ドラマの流行に比較するとマイナーである。写真は筆者提供。

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日本では従来、香港・台湾作品しか知られていなかったのだが、近年、BSやCS放送を中心に中国産のドラマがいくつかラインナップされ、徐々に視聴する方が増えてきた。それでもまだ韓国ドラマの流行に比較するとマイナーである。

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視聴者層の中心となる方々は「冬ソナ」あたりの00年代半ば以降の韓国ドラマブームから、台湾ドラマ、中国ドラマへ引っ越してきた女性ファン、また金庸などの小説を原作とした武侠もの、三国志などの中国古代史を愛好する男性ファンが多いのではと推測している。

日本の視聴者の多くはBSやCS放送で放映される日本語字幕や吹き替え済みのドラマを鑑賞していると思うのだが、ハマってそれでも物足りなければ、自ら中国の放送局サイトや動画サイトのドラマコーナーにアクセスし、日本未公開の作品を鑑賞しているのが現状だ。

【数多くのジャンルが存在する中国ドラマ】

例えば中国の大手動画サイト・愛奇芸(iQiyi)のドラマページでは以下のようなジャンル分けとなっている。

自制(オリジナル作品)

古装(時代劇

言情(ロマンス)

武侠

偶像(アイドル

家庭(ファミリードラマ)

青春

都市(トレンディドラマ)

喜劇

戦争

軍旅(軍隊)

諜戦(スパイ)

懸疑(ミステリー)

罪案(刑事)

穿越(タイムスリップ)

宮廷

歴史

神話

科幻(SF)

年代

農村

商戦

劇場(ドラマ)

奇幻(ファンタジー

網劇(ネット公開のみ)

前回の記事で申し上げた通り、作品数も膨大となればまたジャンルも日本と比較するとかなり多い。

抗日ドラマはどのジャンルか?】

中国は日本と同じ漢字の国、なので上記ジャンル一覧で読んでそのままの意味のものもある。抗日ドラマは「戦争、軍旅、諜戦、懸疑」に含まれていることが多い。ドラマの内容によっては他の時代の作品に混じり「言情、武侠、喜劇、歴史」にジャンル分けされている作品もある。多くの大手動画サイトではこういった分け方となっており、あからさまに抗日、抗戦といったジャンル分けをしているサイトはごくわずかである。

このあたり、音楽ジャンルで言うと極端に細分化したメタル系のようで興味深い。単純に「戦争」でくくればいいと思うのだが、「戦争、軍旅、諜戦、懸疑」と4つに分かれているところに変なこだわりを感じてしまう。中国4千年の歴史で古代から戦争が多すぎたからだろうか?筆者がこの手のドラマを鑑賞した限り、「戦争」はわりと真面目なドラマ、「軍旅」は部隊での兵士生活を描くもの(解放軍もの多し)、諜戦、懸疑になると娯楽性を重視したアクション作品やトンデモ作品の比率が増えてくる。

【日本では見かけないジャンル】

前述した「軍旅」に登場する人民解放軍ドラマなどは、日本に自衛隊ドラマがないのでちょっと観たことがない方には想像がつかないかもしれない。だいたい解放軍に入った若者のブートキャンプ生活で成長していく様を見せるものや、テロリストとの戦いを描いた作品だ。人民解放軍全面協力で爆発、兵器、アクションと見せ場が多い(写真3は関連ドラマ・熱血尖兵)。抗日ドラマと違い、日本は今のところ悪役になっていないので安心してほしい。

また「神話」、「奇幻」といったジャンルは神様やら妖怪、道士が出てきてバトルするなど、中国の伝説や神話などをベースとした作品が多い。あまりにも荒唐無稽で国家広播電視総局からケチをつけられることもある。荒唐無稽といえば「穿越」といったタイムスリップものも規制の憂き目にあい、一時期新作が登場しない時期もあった。

そして筆者オススメのジャンルは「農村」ジャンルだ。「農村」ということで田舎のほのぼのファミリードラマと思いきや、生産拡大、観光開発、貧困撲滅などの成功体験をストーリーにし非常にプロパガンダ臭の強い作品群である。田舎のファミリードラマがベースとはなっているのだが、このあたりは昔から続く紅色経典(クラシック共産劇)の伝統を色濃く受け継いでいると言えよう(写真2は関連ドラマ・索瑪花開)。

宮廷ドラマ、武侠ドラマに飽きた方はこういった作品に挑戦してみるといいかもしれない。もし、推しの俳優が出演していたら是非とも鑑賞をお勧めする。推し俳優の魅力の再発見になるだろう。

■筆者プロフィール:岩田宇伯

1963年生まれ。景徳鎮と姉妹都市の愛知県瀬戸市在住。前職は社内SE、IT企画、IT基盤の整備を長年にわたり担当。中国出張中に出会った抗日ドラマの魅力にハマり、我流の中国語学習の教材として抗日作品をはじめとする中国ドラマを鑑賞。趣味としてブログを数年書き溜めた結果、出版社の目に留まり『中国抗日ドラマ読本』を上梓。なぜか日本よりも中国で話題となり本人も困惑。ブログ、ツイッターで中国ドラマやその周辺に関する情報を発信中。

■筆者プロフィール:岩田宇伯

1963年生まれ。景徳鎮と姉妹都市の愛知県瀬戸市在住。前職は社内SE、IT企画、IT基盤の整備を長年にわたり担当。中国出張中に出会った抗日ドラマの魅力にハマり、我流の中国語学習の教材として抗日作品をはじめとする中国ドラマを鑑賞。趣味としてブログを数年書き溜めた結果、出版社の目に留まり『中国抗日ドラマ読本』を上梓。なぜか日本よりも中国で話題となり本人も困惑。ブログ、ツイッターで中国ドラマやその周辺に関する情報を発信中。

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