<コラム>日本人の私が韓国に来て感じたコンプレックス

木口 政樹    2018年7月30日(月) 21時50分

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韓国暮らしが今年の10月で30年になるが、こちらに来てから特別の不満はない。しかし、一つだけちょっとひっかかるものがある。背が低いと言う声を聞くようになったことだ。写真は韓国・ソウルの地下鉄。

韓国暮らしが今年の10月で30年になるが、こちらに来てから特別の不満はない。しかし、一つだけちょっとひっかかるものがある。背が低いと言う声を聞くようになったことだ。

日本にいたときは背丈のことでいやな思いをしたことはない。第一おのれの背丈について考えたこともなかった。165センチなのだが韓国へ来てからというもの、いつも背丈のことで考えるようになった。というよりコンプレックスをもつようになったといえようか。背が低いということを多くの機会に聞くようになったから。

女子学生らがいみじくも言ってくれたものだ。「キョースニムン チャル センギョンヌンデ キガ チョム」と。つまり「先生はハンサムなんだけど、背がちょっとねえ」というわけだ。

中国の古書(魏志倭人伝など)に、日本のことを「倭」と記し、背の小さい人が多いこと、半腰にして丸くなり4、5人で話す風景が記録されているという。渋谷あたりで少年たちが半腰で丸くなりタバコを吸いながらなにやらぺちゃくちゃしゃべっている風景とほぼ同じビジュアルだ。昔から日本人はこういうスタイルが好きだったのかもしれない。

韓国に来て驚くことの一つは、地下鉄などに乗ると若者はもちろん、お年寄りがたもほとんどわたしより背が高いことだ。70代、80代とおぼしき方々がそろいもそろってわたしよりも背が高いのだ。たいてい170センチくらいはあろうか。

ところで、ネットを検索してまた驚いた。経済協力開発機構(OECD)の報告書「Society at a Glance 2009」によると日本男性の平均身長は171.6センチ、韓国男性は171.2センチで、なんと日本のほうが韓国より背が高いという結果がでているではないか。なんでなんだ?

韓国での生活の中での体感としては、このデータはとてもわたしには信じられない。何かまちがっているんじゃないか。データというものは、標本の取り方、加工の仕方などによっていろんなバイアスがかかり、真実を表わしていないことも多い。この世界身長データがまさにそれなのではないのか。

ここでデータを批判するのが目的ではないのでこれについてのコメントはこれくらいにするけれど、韓国に来て、一度地下鉄に乗ってみていただきたい。お年寄りの方々の背の高さに驚かれること請け合いである。否、という方がおいでの場合は、ぜひわたくしのほうにご一報いただければ幸いである。そのときこそ、わが固定観念をあらため、世界身長データを信じることにしよう。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年~現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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