北朝鮮に忖度?韓国統一省、脱北記者に南北閣僚級会談の取材認めず、「言論の自由を侵害」と韓国紙

Record China    2018年10月20日(土) 13時50分

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韓国統一省が板門店で行われた南北閣僚級会談の取材から韓国紙の脱北記者を除外した。北朝鮮の意向を忖度したとみられ、韓国メディアは「言論の自由に深刻な侵害」などと一斉に反発している。写真は韓国・ソウル。

韓国統一省が板門店の韓国側区域にある平和の家で15日に開催した南北閣僚級会談に先立ち、北朝鮮から亡命した韓国紙記者の取材を認めず、物議を醸している。北朝鮮の意向を忖度(そんたく)したとみられ、韓国メディアは「言論の自由に深刻な侵害」などと一斉に反発している。

取材を拒否されたのは朝鮮日報のキム・ミョンソン記者。同紙によると、キム記者は脱北して2002年に韓国入りし、13年に朝鮮日報に入社した。統一省担当記者団が事前に定めた手続きに従って、韓国紙ファイナンシャルニュース、毎日経済新聞、聯合ニュースTVの記者と共に会談を共同取材する記者に選ばれた。

ところが会談前日の14日午後になって統一省はキム記者の交代を要求。15日朝には除外を通告した。この措置について統一省の報道官は「キム記者は活発な活動で広く知られており、言論を制限するというよりは、そうした特殊な状況で必要な措置と判断した」と説明。趙明均統一相は「私が自ら決定した。責任を負う」と述べ、「北側が事前に要求したことはない」と付け加えた。

これに対し、統一省担当記者団は「記者団の代表取材者を決めるのは記者団の権限だ。それにもかかわらず、統一省が事前に相談もなくキム記者を外したのは言論の自由に対する深刻な侵害だ」と主張。趙統一相に今回の事態に関する記者団への謝罪と再発防止の約束を求めた。統一省に担当者を置く50のメディアのうち49社がこれに賛同したという。

キム記者について朝鮮日報は「今年2月に北朝鮮の金与正・朝鮮労働党第1副部長や金永南・最高人民会議常任委員長らが来韓した際にも、統一省担当記者団を代表して一行をすぐ近くから取材した」と指摘。「板門店の平和の家以上に限られた空間の江陵ホテルでも、キム記者は金与正氏とわずか1、2メートルの距離で取材を行ったが、その時も何ら問題は起きなかった」と強調した。

同紙は社説でキム記者外しについて「政府自ら言論の自由と職業選択の自由を制限し、北朝鮮の気分に合わせ続けているようでは、結果的に北朝鮮に間違ったメッセージを送り、北朝鮮の人権じゅうりんに一種の免罪符を与えてしまうだろう」と批判。「今後、北朝鮮は自分たちを擁護する韓国メディアと記者だけにしか取材を認めないと言い出す可能性も高いが、韓国の今の政権はそのような要求もおそらく素直に受け入れるだろう」と危機感を募らせている。

中央日報も「北朝鮮の機嫌を損ねないか心配で脱北記者を排除した韓国政府」と非難。保守系の朝鮮日報とは論調が異なる左派系のハンギョレ新聞も「言論の自由の侵害、脱北者の差別めぐり波紋広がる」などと報じた。(編集/日向)

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