中国政府が地下鉄建設の条件を大幅に引き上げ、すでに許可の都市も計画「黄色信号」の見方

Record China    2018年7月17日(火) 9時20分

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中国中央政府は13日、地下鉄建設について建設する市の経済規模や財政事情に関連する条件を大幅に引き上げた。そのため、すでに許可を得ている都市も計画見合わせに追い込まれる可能性があり、「黄色信号」の状態にあるとの見方が出てきた。

中国中央政府は13日、地下鉄建設について建設する市の経済規模や財政事情に関連する条件を大幅に引き上げた。そのため、すでに許可を得ている都市も計画推進見合わせに追い込まれる可能性があり、「黄色信号」の状態にあるとの見方が出てきた。

中国政府は地下鉄など都市部軌道交通の建設を許可する条件で、地方財政の一般予算収入を従来の100億元以上から300億元(約5040億円)以上に、経済総生産を1000億元から3000億元(約5兆400億円)以上と、大幅に引き上げた。市街地人口は300万人以上に据え置いた。

これまでの基準は03年に発表されたもので、約15年で財政収入と経済規模の条件がそれまでの3倍に引き上げられた。改正を示した文書の作成日付は6月28日とされている。

同件を伝えた中国メディアの毎日経済新聞現在は、現在、43の都市が地下鉄など「軌道交通」の建設許可の申請を中央政府に提出しており、第13次五カ年計画が終了する20年には全国の都市における「軌道交通」が計6000キロメートルに達する見込みと紹介。その上で、地下鉄のあるなしは都市にとって「面子(メンツ)」の問題になっていると指摘した。

地下鉄の建設には莫大な予算を投じねばならない。現在のところ1キロメートルを建設するのに7億元(約118億円)の費用が必要とされる。開業後も運行を継続するには多額の費用が必要だ。運賃などによる収入の確保が必要だが、現在のところ市政府の補助なしで地下鉄事業が維持されているのは上海市などごく少数の市だけという。

問題は、中国の政治制度とも深く絡んでいる。地方の指導者は選挙で選ばれるのではなく、事実上、共産党のさらに上層部の評価によって決められる。在任中の功績が評価されれば、さらに「出世」できる可能性が出てくる。そのため、在職中に「功を焦る」一方で、離任してからのことはあまり考えない傾向が強いとされる。

地下鉄の建設は市の財政にとって大きなリスクをもたらす。ところが、建設を決める時点の指導層は、自分が離任した後の「地下鉄の赤字問題」を真剣に考えるとは限らない。「地下鉄建設は自分の功績。その後の運営は次の担当者の責任」と考えがちだからだ。

中央政府が地下鉄の建設許可の基準を引き上げたことは、各地の市財政の悪化を懸念しているからにほかならない。つまり中央政府は、「無理のある地下鉄建設計画が横行している」と判断したことになる。

毎日経済新聞は、地下鉄の建設許可をすでに取得した43の市のうち、ウルムチ市(新疆ウイグル自治区)、蘭州市(甘粛省)、フフホト市(内モンゴル自治区)、包頭(バオトウ)市(同)、洛陽市(河南省)、南通市(江蘇省)は、建設許可のための条件が中央政府の新たな基準を満たしていないと指摘。これらの都市の地下鉄建設には「黄色信号」が点灯、つまり、建設許可が取り消される可能性があると論評した。

なお、内モンゴル自治区では18年1月に開催された全自治区経済工作会議で、フフホト市の地下鉄3、4、5号線と包頭市の地下鉄建設を停止することが決められた。それまでの財政予算に水増しがあり、実際には地下鉄の建設と運営に耐えられる状況ではないとの判断だった。包頭市の場合には、17年の財政収入が前年比の半分程度まで減少し、地下鉄の建設も着工から100日に満たない17年11月には停止されていた。前年である16年の財政収入は2倍程度に水増しされていたと考えられる。

毎日経済新聞はこれまでの事例として、広東省東莞市の状況も紹介。16年5月に開業した地下鉄2号線は、現在のところ1日当たりの利用者数が延べ10万人だが、市政府は18年には同地下鉄路線に10億2000億元(約172億円)を投じて運営維持の助けとすることを決めたという。(翻訳・編集/如月隼人

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