大阪北部地震は原発や首相や政権への警鐘―中国メディア

人民網日本語版    2018年6月22日(金) 18時40分

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18日、大阪府でM6.1の強い地震が発生した。4人が死亡し、負傷者は379人に上った。現地の交通システムは一時的にマヒし、約400万人が影響を受けた。住宅約17万世帯が断水になり、約11万世帯でガスの供給が停止し、民家や公共の建物の多くが損壊した。

6月18日午前7時58分、大阪府北部でマグニチュード6.1の強い地震が発生した。4人が死亡し、負傷者は379人に上った。現地の交通システムは一時的にマヒし、約400万人が影響を受けた。住宅約17万世帯が断水になり、約11万世帯でガスの供給が停止し、民家や公共の建物の多くが損壊した。企業の生産活動や物流活動も深刻な影響を受けた。気象庁は今回の地震の性質や大地震に続く地震活動の分析と調査研究を進めている。中国経済網が伝えた。

今回の地震の大きさと損害はそれほど大きなものではなかったが、現地の人々に与えた衝撃は小さくない。住民の一人は「1995年の阪神大震災を思い出した」と語った。

地震が起きて、人々が日常生活への影響よりも心配したのは、地震発生エリアにほど近い大飯、高浜、美浜、敦賀などにある原子力発電所と関連施設が安全かどうかだった。2011年3月11日に東北地域で起きた東日本大震災では、最終的に東京電力の福島第一原子力発電所で深刻な放射能漏れ事故が起き、その後、日本の原発は一度はすべて運転を停止した。こうして日本の原発事業は低迷状態に陥った。

16年末、経済産業省は、福島第一原発の廃炉費用は8兆円になり、すべての工程が終わるまで30年から40年かかるとの見通しを発表した。だが民間団体によると、さらに汚水処理、損害賠償、除染作業などが必要であり、総費用は国家予算の3倍にあたる70兆円になるという。

今年6月14日、東京電力ホールディングスは福島第二原発の廃炉を発表した。全工程には同じく30~40年かかり、費用は約2700億円になるとしているが、実際にはもっとかかる可能性が高い。

福島第一原発の事故は日本が支払った巨大な代償であり、痛ましい教訓だといえる。だがこれと同時に起きているもう1つの事実がある。それは安倍晋三首相が再び政権を取った後、一貫して原発再稼働に向けたプロセスに力を入れているという事実だ。

日本では現在、原発8基が再稼働し、総発電量の2%を占める。今年5月に日本政府が提起した「エネルギー基本計画」原案では、日本で原発を拡張したり新たに建設したりする項目は明記されていないものの、原発を「重要なベースロード電源」とする方針は健在だ。同案は、30年に日本の総発電量に占める原発の割合を20~22%にするとの目標を掲げる。

原発の再稼働を支持する政府関係者は大勢いる。このたび当選した新潟県知事は安倍内閣で海上保安庁次長を務めた花角英世氏だ。花角氏は10日、条件付きで柏崎刈羽原発の再稼働を認める旨の発言をした。

日本の原発政策は日本国内にとどまらない。安倍政権は原発プロジェクトを「インフラシステム輸出の主要分野」と位置づけ、官民一体となってトルコ、インド、ベトナム、英国など各国政府に原発建設を勧めて回っている。だがこうしたプロジェクトは各国が原発の安全基準を引き上げたり、現地の人々の反対運動が盛り上がったり、建設コストが高騰したりとさまざまな原因で停滞し、日本の原発輸出計画は進退が窮まって身動きできない状況に陥りつつある。

国際市場に進出した日本の原発企業は主に日立製作所、三菱重工業、東芝の3社だ。東芝は米原発企業ウェスチングハウス(WH)の買収によって巨額の債務を背負い、最終的に昨年3月にWHの米連邦破産法の適用を申請し、国際原発市場から撤退した。日立製作所は英国政府と原発プロジェクトをめぐり苦しい交渉を続けており、英政府から支援を得ようとしている。来年までこの両国の協力プロジェクトが行われるかどうかの最終決定は下らない。読売新聞の13日付報道によると、三菱重工業の宮永俊一社長は、「日本はトルコ以外にも、いくつかの国と原発建設プロジェクトの交渉を進めている」と発言した。トルコ・シノップ地区での建設計画では新型軽水炉4基を建設する計画で、当初の予算見積もりは2兆円ほどだったが、安全設備などを追加したため、建設コストは大幅に跳ね上がるとみられる。

日本の原発産業にはこのような高い安全リスクと財務リスクがあり、実際には発展プロセスは相当困難だといえる。それでも安倍政権がひたすら推進するのはなぜか。日本経済新聞は10日、日本のプルトニウム保有量は約47トンで、原爆約6千発に相当すると報じた。日米原子力協定は今年7月10日に更新期限を迎える予定で、米国は核不拡散の立場に立って、日本にプルトニウムの削減を求めてきた。鳩山由紀夫元首相は今月6日に東京で講演した際、「以前に率直に述べたように、安倍首相や自由民主党は政権を取ってから、一貫して『大日本主義』の思想を奉じ、大きくて強い日本を作ろうと夢見ている。このためには核兵器の製造能力の保持が必要であると(彼らは)考え、いわゆる『万一の場合』に備えて、(対外的に)『日本も核兵器を保有できる』と宣言して、一躍、世界の大国の仲間入りをしようとしている。よって安倍政権は原発再稼働を推進し続けなくてはならないのだ」などと述べた。

今月12日には、米朝首脳会談がシンガポールで行われ、日本は大きな衝撃を受け、大きな反響が広がった。だが世界の多くの人が注目するポイントとは異なり、日本の世論で話題になるのは、会談によって当事者の北朝鮮と米国は政治的・外交的にどちらが得をするか損をするか、北朝鮮の最高指導層の非核化の決意は確かかどうか、日本人拉致問題の解決につながる可能性はあるかどうか、在韓米軍の規模縮小や撤退はあり得るか、米朝首脳会談は東アジアにおける米国の軍事的影響力や日本の国家安全保障戦略や安全保障政策にどれくらい影響があるか、日朝首脳会談をどのように進めていくか、といった点に集中している。これと同時に、日本は核を持とうとする野心、核保有能力、核の安全保障といった現実的かつ深刻な問題を押し隠している。

今言えるのは、6月18日の大阪北部地震は、日本の原発や核による安全保障といった問題に再び警鐘を鳴らしたということだ。これは安倍首相や安倍政権に対する警告なのかもしれない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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