日本の「働き方改革」、労働力市場は新ステージへ―中国メディア

人民網日本語版    2018年6月8日(金) 17時30分

拡大

日本で進められている「働き方改革」では、公平さを保ち、労働力を保護するにはどうしたらよいかが注目点になっている。

日本で進められている「働き方改革」では、公平さを保ち、労働力を保護するにはどうしたらよいかが注目点になっている。日本の国会は法律を制定して働く人々の基本的な権利や待遇を保障すると同時に、労働生産性の向上にも力を入れる。司法の判断では、パートや契約社員などの非正規労働者に対する差別的待遇の解消が重視される。経済日報が伝えた。

ここ数年、日本の労働力市場にはさまざまな変化がみられた。労働生産性の向上を目的とした働き方改革関連法案がこのほど衆議院を通過し、参議院で審議入りした。また、さまざまな産業の社員や労働組合が、パートと正社員が同じ仕事をしながら賃金に格差があるのは差別的として起こした裁判で勝訴した。現在は、改革で公平さを保ちつつ労働力を保護するにはどうすればよいかが、日本社会の注目する重点ポイントになっている。

1990年代初めにバブル経済が崩壊すると、日本は「労働者派遣法」を何度も改訂して、派遣社員の働く範囲を広げてきた。企業は労働生産性を向上させるため、契約社員、派遣社員、パートなどの採用を大幅に増やし、社会では所得格差が拡大した。「過労死」などの社会問題がたびたび起こり、「ブラック企業」や「派遣切り」がその年の流行語になった。

日本政府がこのたび打ち出した働き方改革プラン関連法案は労働時間、同一労働・同一賃金、健康管理などの面で社員の利益を保護すると同時に、労働生産性の向上にも力を入れ、一部の専門技術については労働時間の制限を撤廃し、成果に応じた報酬を実施しようとしている。社員の保護について、同法案は8時間労働以外の残業時間に上限を設け、年間で720時間、一月で100時間を超えてはならないとする。企業は有給休暇制度を施行し、勤務日と勤務日の間に社員が十分な休息を取れるよう保証し、休みなく働く状況を避けなければならない。残業への補助金を増やし、単月の残業時間が60時間を超えた人には残業代を50%増額する。医療面での保護を強化し、企業は従業員の健康管理に必要な情報を提供しなければならない。だが専門分野での労働制限を撤廃しても、新たに設立された裁量労働制度の規定では、年収1075万円以上の高度専門職の人については、2019年4月以降、企業が「特定の労働契約」を締結できるようになり、労働時間や残業時間に関するすべての制限が撤廃され、さらには残業代や休日手当を支給する必要もなくなった。関連する主な業界は、設計開発企業、市場調査会社、海外証券の取引担当者など多岐にわたる。この法案について、日本経済団体連合会(経団連)をはじめとする日本の経済団体は、「(この法案は)企業の労働生産性を高めるための新たな伝家の宝刀となる可能性がある」と分析する。日本政府はこの法案を労働力市場改革の重要措置の1つとみなす。安倍晋三首相は今国会の最重要法案と位置づけ、裁量労働制の範囲を今後は絶えず広げるとしている。だが野党、労働組合、労働力保護機関は、同法案は社員保護の義務を放棄しており、今後は残業がより多く行われるようになり、「過労死」が増加する可能性もあると警鐘を鳴らす。

これと同時に日本の最高裁判所は企業の社員に対する不合理な待遇をめぐる判決で、社会に新しい情報を発信した。静岡県浜松市の物流企業で複数のパートが仕事の内容や業務に対する責任は正社員とまったく同じでありながら、賃金には大きな差があり、各種手当は月額で3万5000円の開きがあると訴えた。最高裁が今月1日に出した判決では、同社は「労働契約法」の規定を踏まえて均等待遇の原則を遵守し、パートにも正社員と同じように作業手当、無事故手当、給食手当、通勤手当などを支給するよう命じた。パートと正社員で皆勤手当に不平等な待遇があるのは不合理として、高裁への差し戻しを命じた

これまで日本郵政の各地の労働組合は、会社が非正規社員に早朝手当、年末年始特別手当、住宅手当などを支給することを拒絶して、不公平な状況を招いていた。昨年9月に東京地方裁判所で出された判決では、日本郵政は契約社員にもこうした手当を支給しなければならないとし、病気休暇や冬休み・夏休みを認めない規定は「不合理」だとした。

ここ20年ほどの間に、日本企業では派遣社員や契約社員といった非正規労働者の割合が増加した。日本の総務省統計局が行った労働力調査では、2017年の非正規労働者は全国で2036万人に達し、全労働力の37.3%を占めた。非正規労働者は賃金が低く、社会保険の待遇に差があり、仕事が不安定で、よく企業の雇用の調整弁とみなされ、企業の経営が不振になれば真っ先にクビを切られる。西側の主要国の業態別収入格差をみると、日本の格差が最も大きい。フランスはパートの収入が正社員の収入の約89.1%に上り、ドイツは79.3%、英国は70.8%で、日本はわずか56.8%だ。

こうしたことからわかるのは、日本の国会は法律を制定して社員の基本的権利や待遇を保証すると同時に、労働生産性を高めるよう努力しなくてはならないということだ。司法の判断では、パートや契約社員などの非正規雇用の労働者に対する差別的待遇の問題の解決が重視される。長年にわたり、こうした待遇をめぐる不満が社会の公平さに影響を及ぼしただけでなく、企業の発展の後ろ足を引っ張る重要な要因になってきた。日本社会は真の同一労働・同一賃金の訪れを心から期待している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携