<韓国政治の真相>「左派=親北・反米・反日」「李明博氏逮捕=政治報復」は本当か?

八牧浩行    2018年4月23日(月) 7時0分

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浅羽祐樹・新潟県立大学教授がこのほど、「朝鮮半島の今を知る―文在寅政権のビジョン」と題して日本記者クラブで講演。「『韓国左派=進歩派』は親北・反米・反日」「李明博氏逮捕は政治報復」という捉え方は短絡的であると問題提起した。写真は講演する同氏(左)。 

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北朝鮮の実情に詳しい浅羽祐樹・新潟県立大学教授がこのほど、「朝鮮半島の今を知る―文在寅政権のビジョン」と題して日本記者クラブで講演。「『韓国左派=進歩派』は親北・反米・反日」「李明博氏逮捕は政治報復」という捉え方は短絡的であると問題提起した。 

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浅羽教授はソウル大学で政治学博士号を取得。『韓国化する日本、日本化する韓国』『したたかな韓国:朴槿恵時代の戦略を探る』などの著書がある。

李明博元韓国大統領が3月23日、収賄などの疑いで逮捕された。朴槿恵前大統領に続くもので、大半の大統領経験者が逮捕や自殺など悲惨な最期を遂げている。

2人の元国家元首が同時に収監されているのは、金泳三政権による「歴史の立て直し」「軍事政権期の清算」の下で、1995年に全斗煥元大統領と盧泰愚元大統領が逮捕されて以来のことである。両氏はそれぞれ大法院(最高裁)で無期懲役と懲役17年を宣告され服役したが、逮捕から2年後に特別赦免された。

韓国が民主化して以来30年、7人の大統領が選出されたが、退任後はいずれも本人や家族が司直の手に委ねられた。金泳三氏は、次男が電撃逮捕された。

政権が保守から進歩(左派)系に代わった後も、金大中氏の3人の息子全員が罪に問われた。盧武鉉氏は兄が逮捕され、妻や自身も取り調べを受け、逮捕が迫る中で、裏山から身を投じ、捜査はそれで打ち切りになった。

これら全てが現職大統領から何らかの便宜を得ようとする贈収賄に関連するもので、権限が大統領に集中する政治制度と、血縁・地縁・学閥が重視される縁故主義が結びついた「恩顧主義」の結末にほかならない。そこには、軍人・文民、保守・進歩の差はない。

「李明博氏逮捕は政治報復」という捉え方は短絡的である。「『韓国左派=進歩派』は親北・反米・反日」日本の報道も同じである。国際関係では、「対北朝鮮・強硬、対米重視」は保守、「対北宥和、対米独立」は進歩との見方が一般的だが、そうではない。

文在寅大統領は昨年5月の就任以来、民主化後もなお残る「積弊の清算」を最大の国政課題として掲げている。朴槿恵・李明博両氏の逮捕はその一環である。

韓国民の間でも支持政党によって見方に差があるものの、罪を犯せば誰でもそれ相当に裁かれるという「法の下の平等」がようやく実現されつつあるという評価で一致している。従来、「有銭無罪、無銭有罪(金があれば無罪、なければ有罪)」と揶揄されたが、検察や裁判所のあり方には国家に対する国民の信頼がかかっている。

こうした「本来あるべき姿」と「実際に起きたこと」との決して埋まらない落差に対する諸々の感情が「恨(ハン)」である。そこで、せめて事後的にもその落差を「正そう」とするのが「過去の清算」である。韓国国民の間では高齢者ほど保守と進歩の間で「争点の位置」の差が大きいが、特に若者を中心とした全体を見ると、あまり差はない。世代内ではイデオロギー対立が収斂しつつある一方、世代間断絶傾向が見られる。

文大統領は「機会は平等でなければならず、結果は正義に見合ったものでなければならない」と語っている。高い政権支持率を見ると、この考え方が支持されているようだ。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行 1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。現在、日中経済文化促進会会長。Record China相談役・主筆。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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