各分野で「密告奨励」の動き、奨励金は最高で846万円―中国

Record China    2018年4月11日(水) 22時30分

拡大

中国メディアの工人日報は9日、「すべてがカネだ!これらの行為を通報すれば、奨励金は最高で50万元(約846万円)!」と題する記事を掲載した。資料写真。

中国メディアの工人日報は9日、「すべてがカネだ!これらの行為を通報すれば、奨励金は最高で50万元(約846万円)!」と題する記事を掲載した。密告に頼っても社会の秩序を維持しようとする、現在の中国当局の体質が改めて浮き彫りになった。

記事はまず、2017年の「食品薬品違法行為通報奨励法」改正を紹介。それまでは30万元(約508万円)だった奨励金の最高額が50万元に引き上げられた。ただし、実際の奨励金の最高額は地方政府がそれぞれ決めるという。

記事によると、黒龍江省ハルビン(哈爾浜)市政府はこのほど、組織犯罪の通報に対して最高で8万元(約135万円)の奨励金を支給することを発表した。広東省政府も今年1月1日から、違法なマルチ商法を通報した人への奨励金を最高で30万元(約508万円)とした。

海南省公安庁(省警察)は2017年10月9日から、自動車のナンバーの不正売買行為を通報した場合の奨励金を最高で5万元(約85万円)とし、「通報人の情報は厳格に保護する」と発表した。湖北省も同年6月から、たばこ専売についての違反行為の通報に対する奨励金を最高で20万元(約338万円)とした。

工人日報の記事は極めて軽い調子で、多くの分野で存在する奨励金の情報を「急いで周囲の家族や友人に拡散しよう。皆で金儲けをしよう」と記事を結んだが、中国における「密告社会化の進行」をうかがわせる点で内容は深刻だ。

中国では1980年代以来、「脱毛沢東時代」が政治や社会の改革の大きなテーマだった。イデオロギー偏重からの脱却や個人崇拝の否定、政権長期化の防止などだ。

しかし2012年に習近平氏が共産党総書記に就任、13年には国家主席に就任してからは、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」などイデオロギーの強調や、習氏個人に対する大仰な称賛が連続するようになった。1988年の憲法修正で設けられた「国家主席の任期は最大で10年」の条文も2018年3月の全国人民代表大会で撤廃された。

密告についても、一時期は毛沢東が死去する1976年まで約10年間にわたり続いた文化大革命期の状況を教訓とする批判的な意見が根強かった。文革期には特定の人物を「反革命だ」などと告発するケースが多発し、告発しないと自分が「反革命だ」と告発されかねないとの恐怖心も加わったことで「密告合戦」が発生し、社会の各所で深刻な人間不信が発生したからだ。

「密告奨励」の動きが顕著であることからも、中国において「毛沢東時代についての反省」は希薄になりつつあるように見える。(翻訳・編集/如月隼人

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携