RCEP成立で「本当に怖いのは雇用の悪化」「失われた20年に突入する」―台湾

Record China    2020年11月17日(火) 15時20分

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アジア太平洋15カ国がRCEPを締結したことで、“かやの外”となった台湾では自国経済の今後を憂慮する声が続いている。写真は台湾・淡水の夜景。

日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の計15カ国が東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を締結したことで、“かやの外”となった台湾では自国経済の今後を憂慮する声が続いている。本当に怖いのは雇用の悪化だとする指摘や、台湾は失われた20年に突入するとの見方が出ている。

台湾メディアの聯合新聞網は16日、香港北威国際集団社長であり、台湾大学財務金融学科の兼任教授である劉憶如氏による論説文を掲載した。劉氏は、台湾はRCEPを重視していなかったと説明。台湾とRCEPを締結した15カ国との貿易額の70%は、すでにゼロ関税になっていたので、RCEPが成立しても台湾への影響は大きくないとの見方もあったという。

劉氏は「ゼロ関税」が実現している「貿易額の70%」の内訳を見ると、情報通信などに関連している分野が大きいと指摘。残りの30%の大部分を占める伝統的な製造業、サービス業、農漁業などへの影響が懸念されると主張した。

問題は、RCEPの影響を強く受ける産業で雇用問題が発生することという。RCEPによる影響が少ないと考えられる情報通信分野の産業が吸収できる労働人口は極めて少ないため、台湾政府は雇用問題で厳しい試練にさらされることになる可能性がある。

また、輸出についても台湾とはライバル関係にある韓国が、対RCEP参加国への輸出で、台湾のパイを奪い取ることが用意になるという。

台湾メディアの中時新聞網は、台湾・華梵大学の杜震華准教授による文章を掲載した。杜准教授はRCEPの成立で石油化学関連や繊維産業などの生産場所が台湾を離れてRCEPの参加国に移動していくと予想した。

杜准教授は、台湾政府はCPTPPに参加することで、RCEPによる危機を乗り切ろうとしていると指摘。しかし、台湾の輸出全体に占める割合を見れば、対RCEP参加国は6割で、対環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)参加国は2割強に過ぎない。しかも、CPTPP参加国への輸出の場合、RCEP参加国への輸出と比べれば、すでにゼロ関税が実現しているケースが多いという。杜准教授は台湾にとって「どちらが重要であるかは、すでに明白」と主張した。

杜准教授は、2010年から18年までの8年間で、台湾の輸出額は19%しか伸びなかったと指摘。RCEPに参加した15カ国のうち、輸出額の伸びが台湾に及ばなかったのは、石油価格の下落に直撃されたブルネイだけという。杜准教授は、台湾はすでに「失われた10年」を経験しつつあり、政治が中国大陸との関係を巡る党派間の綱引きに終始して経済を犠牲にするようならば「失われた20年」は、すぐ目の前に迫っていると主張した。(翻訳・編集/如月隼人

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