【週末美術館】截画道

Record China    2009年12月12日(土) 15時24分

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北京を拠点に活動する若手油彩画家・王疆は、中国の伝統的フォークアートの要素をもりこみ、マティスの影響も見て取れる「ちぎり絵」の手法で創作を展開している。即興性やライブ感あふれる創作過程が魅力だ。

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北京を拠点に活動する若手油彩画家・王疆(ワン・ジアン)は、中国の伝統的フォークアートの要素ももりこんだ「ちぎり絵」の手法で創作を展開している。

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中国にはもともと「剪紙(切り絵)」という、1000年以上の歴史を誇る民間芸術がある。祝いのときなどに室内に飾るような日常性の高いアートとして愛されているが、あらかじめ完成した下書きに忠実にカットしていくため、精緻ではあるが、自由度にやや欠けるという欠点もある。

その変化形である王疆の「ちぎり絵」は、思い切ってハサミを捨て、素手で紙をちぎり、同時に描画する。切り絵よりも即興性や創造性に富み、ライブ感あふれる創作過程が魅力。素描に近いスピード感と奔放さ、素朴さ、ダイレクトさなど、作家にとってよりクリエイティブな表現方法であると王は考えている。

作品を見るにつけ、20世紀フランスの画家でフォーヴィスム(野獣派)を代表するマティスの影響も見て取れる。マティスの代名詞とも言うべき切り絵は明快・簡潔だからこそ、より強い視覚的インパクトを持ち、また、より洗練を要するものだが、マティスの手には絵筆以上にハサミがよくなじんだように、王疆の手には、自在に動く自身の指が最大の味方となっているようである。

なお、自身のインスピレーションを誠実に可視化するこのメソッドを王疆は「截画道」と名づけている。これは王が敬愛するブルース・リーが創始した「截拳道(ジークンドー)」をもじったものである。(文/山上仁奈)

●王疆(ワン・ジアン)

新疆ウイグル自治区生まれ。画家・アーティスト。8歳から絵を学び、美術大学では油彩画を専攻。在学中から創作活動に力を注ぐ。自身のインスピレーションをちぎり絵で表現する「截画道」が注目を集め、メディアに度々取り上げられる。代表作に「截画道宣言」「紅色生命」「魂の集い」など。

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

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