中国がサウジ国営石油企業アラムコ株購入か、上場前に10%程度=サウジ、安保で中ロに接近も―中東専門家

Record China    2017年12月7日(木) 9時30分

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6日、中東情勢に詳しい畑中美樹国際開発センター研究顧問と福田安志アジア経済研究所上席主任調査研究員が講演。サウジ国営石油企業のアラムコは2018年中の新規株式公開(IPO)の準備を進めているが、中国が公開前に10%程度の株式を購入する可能性が出ている。

2017年12月6日、中東情勢に詳しい畑中美樹 国際開発センター研究顧問と福田安志 アジア経済研究所上席主任調査研究員が「激動するサウジアラビアと中東情勢」と題して日本記者クラブで講演した。サウジ国営石油企業のアラムコは2018年中の新規株式公開(IPO)の準備を進めているが、中国の石油企業が公開前に10%程度の株式を購入する可能性が出ている。サウジ側はアラムコの企業価値を2兆ドル(約224兆円)と見込んでおり、中国の株式購入は波紋を呼ぶと見られる。外交・安全保障面で米国との協力関係は維持されるものの独自性を強め、中国、ロシアに接近しているという。両氏の発言要旨は次の通り。

<畑中美樹 国際開発センター研究顧問>

サウジ国営石油企業のアラムコは2018年中の新規株式公開(IPO)の準備を進める一方、ここにきて予定が変更される可能性も出てきている。選択肢としてロンドンやニューヨークなどの有力株式市場でのIPO前に、リャド市場のみで上場して、世界の機関投資家や政府系ファンドなどに個別に同社株を売却するとの案が浮上。国内、海外でのIPOを2段階に分けるというものだ。

中国の投資家とサウジの間で協議が進められ、中国政府系機関投資家が国際的な株式市場でのIPOに先立ち、アラムコの株式の10%の購入に関心を寄せている。中国側は株式購入の見返りとして、中国にサウジ石油を長期的に安定供給するとの保証を求めているようだ。具体案としては、まずリヤド証券市場で上場し、中国の政府系機関投資家に5〜10%の株式を売却して、その後のいずれかの時点で、ニューヨークかロンドン市場であらためてIPOを行うという。

関係筋によると、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)と中国石油化工(シノペック)がアラムコ株の最大5%を直接買収することを申し出たという。同筋によると、サウジアラビアは最大石油輸出先の中国がアラムコの主要投資家になることに乗り気という。サウジと中国の取引には株式だけにとどまらず、アラムコが中国の製油精製施設に投資する可能性もある。

<福田安志 アジア経済研究所上席主任調査研究員>

サウジアラビアでは閣僚を含む大勢の王族が汚職などを理由に一斉に逮捕・拘束されるなど波紋を投げかけている。32歳のムハンマド皇太子・副首相兼国防相への権力集中が進むが、国民の間で皇太子の改革姿勢に人気が集まっている。豊かな時代に生まれたSMSなどを駆使するネット世代は身近な社会や経済の改革を支持している。ただ王族間の亀裂が深まり、危うさも増している。

外交・安全保障面で独自性を強め、幅を広げつつあり、ロシア、中国に接近している。米国依存を減らし、集団安保を模索中だが、米軍は空軍を中心に存在し続け、米国との協力関係は維持される。(八牧浩行

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