ASEANで中国離れ相次ぐ、マレーシアは高速鉄道を白紙に、「南シナ海でレッドライン越えたら宣戦布告」と比外相、インドネシアも

Record China    2018年6月2日(土) 5時10分

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ASEAN加盟国で中国離れの動きが相次いでいる。マレーシアは中国が受注を目指していた高速鉄道の建設計画を中止。フィリピンの外相は南シナ海問題で戦争に言及して警告し、インドネシアもインドとの防衛協力で合意した。写真は中国の高速鉄道。

2018年6月1日、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で中国離れの動きが相次いでいる。マレーシアは中国が受注を目指していた高速鉄道の建設計画を中止。フィリピンのカエタノ外相は領有権を争う南シナ海で「中国がレッドラインを越えれば宣戦布告する」と警告し、インドネシアもインドとの防衛協力で合意した。

5月の総選挙で1957年の英国からの独立後、初の政権交代が実現したマレーシアでは返り咲いたマハティール首相が5月28日、シンガポールとの間、約350キロを90分で結ぶ高速鉄道建設計画の白紙撤回を表明した。その理由として、同首相は「巨額の費用がかかり、有益ではない」と説明した。

高速鉄道計画は中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の主要事業とされ、事業者を選定するための入札手続きを昨年12月に開始。総工費は170億米ドル(約1兆8600億円)で、18年着工、26年完成の計画だった。日本の企業連合も新幹線方式での受注を狙い、中国と激しく受注を競っていた。

高速鉄道計画の駅予定地や沿線では、中国主導のインフラ事業案件が並ぶ。首相の決断の背景にはマレーシアに進出する中国への警戒感も強く働いていたとみられ、中国メディアは「巨額の違約金が発生する可能性がある」と早速けん制している。

一方、米CNNなどによると、フィリピンのカエタノ外相は5月28日に外務省で行われた国旗掲揚式典で、南シナ海の軍事拠点化を進める中国に対してフィリピンは温厚な政策を取っているとする見方に反論。「(中国政府には)レッドラインがあり、我々にもレッドラインがある。それはドゥテルテ大統領も明言している。もし南シナ海のフィリピン海西部で天然資源を採掘する者があれば、大統領は戦争を始めるだろう」と語った。

南シナ海をめぐり、アキノ前大統領は中国の広範な領有権主張や人工島建設などは不当として、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴。同裁判所は16年7月、フィリピン側の主張を全面的に認める判断を下したが、中国は拒否していた。ドゥテルテ大統領は南シナ海問題に関して対中姿勢をアキノ前大統領とは対照的に軟化。今年4月には中国の習近平国家主席のことを「大好き」とまで発言していた。

さらに人口2億人超のASEANの大国インドネシアのジョコ大統領は5月30日、インドのモディ首相と会談し、共同訓練の実施などインド洋での防衛協力で合意した。モディ首相は「一帯一路」に対抗し、ASEANとの関係を強化するアクト・イースト政策を進めており、南シナ海の海洋権益をめぐって中国と対立するインドネシアと思惑が一致したとみられる。(編集/日向)

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