日本アニメの海賊版に夢中になった幼少期、今は「愛の爆買い」で好きな作家を支えたい!―中国人学生

Record China    2017年6月25日(日) 12時50分

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日本では中国人観光客による爆買いが終息していると報じられているが、「政治や経済に影響を受けない爆買い」も存在する。そう主張するのは、国際関係学院の喬志遠さん。喬さんは中国人の「爆買い」を、オタク目線で紹介している。

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日本では中国人観光客による爆買いが終息していると報じられているが、「政治や経済に影響を受けない爆買い」も存在する。そう主張するのは、国際関係学院の喬志遠さん。喬さんは中国人の「爆買い」を、オタク目線で次のように紹介している。

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「君も静雄(しずお)が好き?」。僕は「コミックマーケット」(以下、コミケ)会場でフクダという日本人から話しかけられた。僕がアニメ「デュラララ!!」の同人誌を買った時のことである。フクダくんは、登場人物「静雄」を主人公とした同人誌を描いて、コミケで売っている人だ。静雄は「デュラララ!!」では脇役である。しかし、僕は主人公の帝人(みかど)や正臣(まさおみ)より好きで、フクダくんも同じだった。僕と彼は静雄を通して一瞬で友達になった。

その年の夏休み、僕はオタク仲間2人と日本に行った。目的はコミケ。日本滞在は1週間、コミケの開催3日間はコミケに通い、残り4日間は秋葉原と池袋のコミック専門店に行った。スカイツリーにも皇居にも浅草にも行かなかった。毎食カップ麺で旅費を節約して、漫画、同人誌、ゲームを15万円分買った。友達は30万円分も買った。まさに「爆買い」である。

僕たちがマンガや同人誌を「爆買い」した理由は、それがコミケでしか買えないからだ。しかし、理由はそれだけではない、コミケでの買い物は「愛情を示す」ことだからだ。コミケは世界最大のオタク集会であり、オタクの聖地である。そこにはフクダくんのような仲間がいる。仲間に愛情を示すためにも、僕たちは同人誌を買う。

そして、僕たちは、好きな作家、アニメ会社のためにも「爆買い」する。子どもだった時、中国で買えた日本の漫画、ライトノベル、ゲームは、ほぼ海賊版だった。だけど、夢中になった。今、正規版が買えるならそれを買い、好きな作家、好きな会社を支えたい。これもオタクの愛である。

オタクは一般的には孤独である。僕たちは高校時代、受験勉強に必死な同級生からは軽蔑され、両親にも理解されなかった。でも、コミケには世界中のアニメファンが集う。同じキャラのファンなら、一瞬で親友である。親友との交流のために、オタクは同人誌を大量購入する。これは一般の「爆買い」とは違う。愛の「爆買い」である。

確かに中国人、日本人の間には、考え方や習慣の違いがある。コミケの初日、僕たちはコミケに向かう電車の中で、興奮してしゃべっていた。しかし、はっとした。誰も大声で話したり、電話したりする人がいない。コミケのブースでも、中国式に値切ってしまい、スタッフに婉曲に注意された。このような違いが摩擦を起こす。中日両国のメディアも、このようなちょっとした相違点に注目しがちで、共通点はあまり報道しない。

しかし、オタク同士は共通点だらけだ。フクダくんは名刺をくれながら、静雄の魅力について熱く語ってくれた。彼の日本語は半分も理解できなかったが、情熱は100%理解できる。最近、アニソン歌手の和田光司が亡くなった。中日のオタクはともに自発的にネット上に集って哀悼した。オタク同士はアニメへの愛で、国籍も言語も、文化的な違いも超えて仲良くなれる。

一般的な「爆買い」は、物とお金だけの交流と言える。中国で同品質のものが同価格で買えたら、一般的な「爆買い」はなくなるだろう。しかし、「オタクの爆買い」は違う。これには「キャラへの愛」という精神がある。精神的交流は、距離も文化も言葉の差も超える。『少年ジャンプ』のスローガンは「友情・努力・勝利」であり、世界の若者に夢、勇気や愛を与えることであるが、オタクにとって、アニメは夢、勇気、愛である。これは政治が変わっても、経済が変わっても、不変だ。中国人オタクは、この不変の「爆買い」「愛の爆買い」ができるのである。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、喬志遠さん(国際関係学院)の作品『爆買い以外にできること―オタクによる愛の「爆買い」ではないか―』を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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