<コラム>水道の漏水で年間3000億円損失している中国、注目のスマート水ビジネスとは

内藤 康行    2017年4月30日(日) 15時40分

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実はこの水道漏水問題は水汚染と水資源枯渇問題と深くつながっている。このような現状を突破すべく、次世代水道事業のスマート化改革が注目を集めている。資料写真。

例えば水道管の平均漏水率を20%で計算すると、中国の水ビジネス運営企業の1年間の漏損水量は約102億トンにも達する。もし水道料金をトン当り2元(約31円)で計算すると、水道水の漏水による経済損失は毎年200億元(約3200億円)になってしまう。実はこの水道漏水問題は水汚染と水資源枯渇問題と深くつながっている。このような現状を突破すべく、次世代水道事業のスマート化改革が注目を集めている。

スマート水道運営では、インターネット、ビッグデータ、クラウド等の技術やリアルタイム監視制御、給水トレンド予測、突発事故予測警報及び応急処置等の機能を駆使することで、都市給水のスマート化管理レベルを向上できるとして、今水ビジネス運営管理のスマート化の機運が高まっている。

政府側支援は、スマート水ビジネス運営業界に成長規模、成長スピードに大きな影響を与えている。「水十条(正式名称:水質汚染対策行動計画)」公布や、水資源税改革の試験施行、「PPP(官民連携)+資産証券化」等の政策公布は、全てスマート水ビジネス運営業界の高度成長の支えとなっている。

以下に、これからのスマート水ビジネス運営の成長トレンドを示す:

トレンド1:都市化進展に伴い、水ビジネス運営設備のスマート化

中国の都市化が急進展する中、喫緊(きっきん)の課題として、(1)都市の近代化発展目標の実現、(2)都市の持続可能な発展の保障、(3)区域水資源の分配整合性があり、この課題解決策として、スマート給水一体化が浮上している。

都市のスマート給水一体化の実現、都市給水管網の敷設、都市(城)と郷村(郷)の区域統合給水の実現等は、水資源の合理的利用への有効な方法の一つである。今後中国の城郷一体化政策が加速されそうだ。スマート水ビジネス運営の発展に伴い、従来の水量計は徐々に市場から退出し、無線操作型スマートメータに取って代わられる。スマートメータは水道事業運営企業にとって、ユーザーの用水情況の適時把握と運営効率向上を可能にする。

トレンド2:新技術の応用が加速スマート水ビジネスの発展に追い風

クラウド、ビッグデータ、ToTといった新世代を代表する情報技術は、水ビジネス運営企業の保有する施設と融合し、水ビジネス企業の生産性と融合し、水ビジネス企業の経営管理と融合することで、スマート水ビジネス構築の技術側面でさらに広範囲な下支えとになる。

トレンド3:「PPP+資産証券化」はスマート水ビジネス運営をさらに促進

「十三五計画(2016〜2020)」期間における環境保護産業の市場規模は約17兆元(約272兆円)に達すると予測されている。環境保護産業では、特に水ビジネス産業が全体の28%を占め、その内訳として、スポンジシティー建設需要が3兆元(約48兆円)、地下管路敷設で0.9兆元(約14兆円)、黒臭水体処理で0.7兆元(約11兆円)、郷鎮汚水処理で0.2兆元(約3兆円)に達することから、スマート水ビジネスはさらに勢いを増す。

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