「戦争の意義って何?」=日本のアニメ『ガンダムSEED』を見て深く考えるようになった―中国人学生

日本僑報社    2016年1月4日(月) 14時50分

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東華大学の姚儷瑾さんは日本のACGをきっかけに、戦争や日中関係について深く考えるようになったそうだ。資料写真。

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「ACG」という言葉をご存じだろうか。これは中国で使われている言葉で、アニメ、コミック、ゲームの総称だ。中国では今、日本のACGにはまる若者が数多く存在する。そして、東華大学の姚儷瑾さんは日本のACGをきっかけに、戦争や日中関係について深く考えるようになったそうだ。

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「殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に最後は平和になるのか」。これは『機動戦士ガンダムSEED』で、幼馴染の主人公2人が立場の違いにより、相手を殺さなければならない情況下で抱いた疑問です。「戦争の意義って何?」。これは私がこのアニメを見た後、ずっと考え続けている問題です。

『ガンダムSEED』の中では、遺伝子工学というハイテクをめぐる倫理的問題が発端で戦争が起こるのですが、アニメを見る前はこんな展開は思いもしませんでした。また、このアニメはフィクションですが、描かれている戦争の場面は大変リアルで、命のもろさを丁寧に描いていました。そして、この戦争の切なさは私の頭に深く印象に残り、今の世界情勢を少し自分の身に近づけて考えてみようと思い始めました。このアニメがきっかけで、私は日本のACGに興味を持ち、セリフをより理解するため日本語を勉強し始めました。

日本語を勉強して2年目、授業中に先生と学生が何度も日中関係をめぐって討論をしました。「日中関係がますます悪化し、最悪の場合、戦争になる…」。先生がそう話したそばから、私は『ガンダムSEED』を思い出しました。アニメの中に描かれていた、戦乱のため、自分が自分の親友を殺さなければならない場面。私は絶対に経験したくないです。私は、あるACGマニアが集まるウェブサイトにこう記しました。

「人が命を失っても、戦争で訴えたいものは何ですか。利益、正義、それとも、ただ殺された人のための復讐ですか。もし戦争が起これば、必ず誰かが殺されます。殺された人のため、また誰かを殺します。こうして戦争は永遠に続きます。その戦争の傷はどれほど大きい勝利でも癒せません。私は心から日中関係の平和を祈ります」

すると翌日、意外なことに、ある日本人が私のコメントに返事をくれたのです。「私もそう思いますよ」。返事は大変短いものでしたが、私の感動は大きかったです。ACGがきっかけで日本人と交流できることにも驚きましたが、より収穫だったのは日中の平和を祈っているのが私だけでなく、日本人の中にも中国に好意を寄せている人がいることが分かったことです。

その後、ACGがきっかけで何度も日本人と交流する機会を得ました。互いに好きなアニメについて話し合っていると、さまざまな共通点が見つかりました。国籍が違っても、彼らは私の周囲の友達と全く同じです。交流した後、中国人への印象が変わったと言ってくれた日本人もいます。日本語学部の一学生にすぎない私ですが、自分の力が少しでも役立った気がして嬉しかったです。

今の日中関係悪化の原因は、政治以外に双方の理解不足も原因の一つだと考えます。日中戦争の暗い影の下で、日本人全員が悪いと思っている中国人は少なくないでしょう。しかし、これは事実ではありません。現在、中国人に人気がある日本のACGにはこのような誤解を解く力が秘められています。好きなACGについて話し合いながら、相手国の姿を確認し合う、これは新たな文化交流の形になるかもしれません。小さなことから努力すれば、きっといつか日中関係はよくなると思います。『ガンダムSEED』のラストのように、永遠の平和を祈ります。(編集/北田

※本文は、第十回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「『御宅』と呼ばれても」(段躍中編、日本僑報社、2014年)より、姚儷瑾さん(東華大学)の作品「ACGと日中関係」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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