Record China 2015年3月28日(土) 19時30分
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27日、河南省出身の著名作家で2014年度のフランツ・カフカ賞を受賞した閻連科氏がこのほど日本のTwitterユーザーが選ぶTwitter文学賞を受賞した。
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2015年3月27日、河南省出身の著名作家で2014年度のフランツ・カフカ賞を受賞した閻連科(イエン・リエンコー)氏がこのほど日本のTwitterユーザーが選ぶTwitter文学賞を受賞した。アジアの作家が同賞を受賞するのは初めて。人民網が伝えた。
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Twitter文学賞は、作家や評論家が選考に携わらず、一般のユーザーがTwitter上でその年に最も面白いと思った小説を投票することで決まる賞だ。閻連科氏の小説「愉楽」(原題:受活)の日本語版は昨年末に日本で出版され、中国人作家の小説売上記録を更新し、4カ月で3回も増刷された。現時点で「愉楽」はすでに18カ国語に翻訳されている。
■長期にわたる中国文学の沈黙を打ち破った「愉楽」
谷川俊太郎の詩作品の翻訳などでも知られる中国の詩人、田原(ティエン・ユエン)氏(城西国際大学客員教授)は、「中国文学は日本では比較的マイナーなジャンルに属しており、『愉楽』の日本におけるヒットはある種の奇跡と言える」と語る。田原氏によると、中国文学で日本語に翻訳されるものはあまり多くなく、以前は魯迅(ろじん)、後に莫言(モーイエン)、残雪(ツァンシュエ)、閻連科、賈平凹(ジア・ピンアオ)、余華(ユー・ホア)などの小説が翻訳されたが、大部分の中国人作家の小説は出版されてもほとんど売れないという。しかし、今回、出版された「愉楽」が、この長きにわたる中国文学の沈黙を打ち破った。東京大学の藤井省三教授は日本紙で、「愉楽」に対して、「深い絶望こもる現代中国の寓話」という書評を発表した。その中で藤井氏は、「閻連科の絶望は魯迅と比べてもさらに深いようである」と綴(つづ)った。さらに多くの評論では、現代中国の現実と閻連科の小説の構造や虚構を生み出す能力とを関連付けているほか、言葉に豊かな創造性が備わっているという見方を示している。
■閻連科の作品はなぜ日本の読者に受けたのか?
「愉楽」はなぜ日本の読者に受けたのか?これについて、田原氏は、「おそらくいくつかの要因がある」と分析する。「閻連科氏の人間性に対する深い描写やメタファーの深さ、現代中国の現実の思考に対する独特の想像力と構造や虚構を生み出す能力が日本人に衝撃を与えた。当然、閻連科氏が昨年フランツ・カフカ賞を受賞したことも関係がある。これによってより多くの人が閻連科氏という作家に注目した。このほか、出版社の宣伝や売り方も関係がある。出版社は「愉楽」を名作作品として売り、定価を3888円という非常に高い金額に設定したが、それでも読者からの人気を博した。
■中国文学はなぜ、日本読者からあまり受け入れられないのか?
中国文学が日本において長年マイナーなジャンルに甘んじている要因について、田原氏は、「文学そのものから見ると、中国人作家の小説は、ちまちまとしていて、視野が広くない。このほか、翻訳も一つの問題になっている」として、「一部の中国人作家の言葉は素晴らしい。しかし、それだけに過ぎない。小説においてより重要なのは構造だ。無限で壮大で巨大なのにつけこむ隙がない構造。さらに、普遍的な内容と虚構を生み出す能力が大作家と普通の作家との違いだ。これは、母国語を越えた時に、よりはっきりと表れる。中国の小説は、想像力と構造、ストーリーテリングの面で世界の最高水準に達していない。多くの中国人作家は母国語ではうまく書けていても、翻訳を通した時、その良さが消えてしまう。それは、二流の小説で、虚構を生み出す能力に劣り、外国人読者の期待の高さに到達していないことを示している」と語る。
田原氏は、多くの中国人作家が世界に進出できていない要因は、母国語を越えて自分の作品を見ることができていないからだと指摘する。「多くの人は、言葉の壁は越えられないと考えている。しかし、実際は、言葉には創造性があり、母国語を越えることはできる。閻連科の言葉には情熱と詩趣があり、肥沃な想像力がある。さまざまに組み合わされた修飾語や言葉は、詩的で豊かだ。閻連科の作品は非常に独特で、湧き上がる想像力と構造や虚構を生み出す無限の能力を持っている。閻連科の作品からは他の中国人作家の影響はほとんど見られない。非常に独特であり、これこそが創造性だ」。
■すでに長い歴史がある日中文学の逆転現象
閻連科氏は25日にインタビューに応え、「日本の文学界で我々が読める小説は、もっと日常的かつ人間本位のもので、奔放な想像力による『愉楽』とはあまり似ていない。また、日本文学では語り部を使った形式の小説や構造はあまり見かけない。もちろん中国の現実との関連性や、人物の心理描写の把握の点で、おそらく読者が期待する水準には達していたのだろう」と語った。
日中両国文学の交流における「逆転現象」について、閻連科氏は、「逆転現象は、すでに長い歴史がある」という見方を示し、「これは、1930年代から始まっている。多くの作家は日本人作家の影響を受けている。現代にいたるまで、日本の若い作家や村上春樹を含めて、日本の小説は、中国ではよく売れている。中国文学は日本では相対的に人気がない」と語った。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/武藤)
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