<写真特集>シルクロードに息づく色彩と造形―日本人カメラマンが見た風景

秋野深   2016年8月11日(木) 2時20分

シルクロードを中心とした旅先の自然風景、建築物、人々の生活の1シーンをファインダーに収めてきた写真家・秋野深。たった一瞬の、区切られた情景しか切り取ることのできない写真を過信せず、色彩の美、造形の魅力を、限りある中で凝縮する。

東は中国の古都・洛陽にはじまり、山々や砂漠を越え、異国情緒も濃厚な中央アジアのイスラム圏を通過し、西は欧州有数の文化の都・ローマへ続くシルクロード。大いなる大地が抱くこの長い長い道は、悠久なる歴史をたずさえ、人類の夢や欲望を背負い、また厳しくも美しい自然の風景を無数にたたえ、多くの人々に惜しみなくロマンを与えてきた。しかし、島国の民たる日本人にとって、シルクロードの大地への憧れは、より遠く、それゆえにより魅惑的に映るのかもしれない。かくして、その魅力に取りつかれた1人の日本人写真家が、広大な西方の大地を踏みしめながらシャッターを切り続けている。

旅先での自然風景、建築物、人々の生活の1シーンをファインダーに収めてきた写真家・秋野深(あきの・じん)。写真家ゆえに、写真の限界を知り、写真を過信しないスタンスを貫くという秋野は、被写体を仔細に観察し、謙虚に向き合うことを大切にしている。視界に映る風景のすべては、ファインダーには収まりきらない。シルクロードが背負う悠久という時間は、シャッターを切った瞬間、うたかたのものとなる。だからこその、写真。色彩の美、造形の魅力を、限りある中で凝縮すること。そこに、シルクロードそのものとはまた別の、新たなロマンが誕生するのだ。(文/山上仁奈)

●秋野深(あきの・じん)

1970年生まれ。会社勤務の後、フリーランスの写真家・紀行作家に転身。アジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)とアメリカを主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続けている。クラブツーリズム海外・国内撮影ツアー同行講師も務め、都内を中心に一眼レフ初心者向けの写真教室アルトフォーカス(http://www.alt-focus.com)を主宰。NHKスペシャル『新シルクロード 激動の大地をゆく』の番組宣伝用ハガキに作品採用。「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード2004-2008」のプロフェッショナル部門で5年連続受賞。2008年夏、ウズベキスタンの古都サマルカンドの文化歴史博物館にて「ウズベキスタン共和国独立17周年記念展示 秋野深写真展 Colors and Shapes throughout the Silkroad History」を開催。JATA世界旅行博2008(於:東京ビッグサイト)にて講演。

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