高市早苗総理への公開状

凌星光    
facebook X mail url copy

拡大

福井県立大学名誉教授で全日本華僑華人中国平和統一促進会名誉顧問の凌星光氏は11月29日、「高市早苗総理への公開状」を掲載した。

福井県立大学名誉教授で全日本華僑華人中国平和統一促進会名誉顧問の凌星光氏は11月29日、「高市早苗総理への公開状」を掲載した。以下はその内容。

高市早苗総理大臣閣下

“台湾有事”に関し集団的自衛権行使の「存立危機事態」になり得るとした貴殿の国会発言が、日中関係に深刻な影響を及ぼしています。中国政府は「核心利益の核心」である台湾問題への内政干渉であり「一つの中国」原則に反するとして発言の撤回を要求していますが、日本政府は従来の見解に変わりはないとして、両国の主張は平行線のままです。

その結果、日中関係は国交正常化前に逆戻りしつつあり、いつ武力衝突が起きてもおかしくない状況にあり、誠に憂慮に耐えません。閣下の発言によって引き起こされた危機的状態を克服するために、発言を撤回または善処され、中国側の了解を得て、一日も早く日中友好四文書の原則に回帰させるよう切に願う次第です。

ここで以下六つの点を指摘し、閣下の政策決定の参考に資したいと思います。

1.米中の力関係の変化への新たな認識の必要性

戦後初期、米ソ対立が激化する中、日本は日米安保条約を締結しました。中ソ分裂、中国の挫折など西側に有利な国際情勢の下、日本はその利益を享受し、世界第二の経済大国となりました。しかし、今や中国が台頭し、米国と肩を並べるようになり、日米安保条約による対中抑止力強化は無意味となりつつあります。とりわけ、9月3日に示された中国軍事パレードでの新装備は、世界の軍事専門家の驚異の的となりました。ここ数カ月、米国の対中姿勢には変化が見られ、米中衝突を避ける論調が強まっています。米国の対中緩和姿勢や論調に歯止めをかけるような日本の働きかけは徒労であり止めるべきです。

2.台湾平和統一の実践への理解

台湾統一は全中国人民の念願であり、「偉大な中華民族の復興」の象徴的事業です。そしてこれを成し遂げて始めて人類運命共同体の実現に邁進することができるようになります。今まで「韜光养晦」の段階でありましたが、今や行動で平和統一を促進する段階に入っています。一般人の命に関わる陸上においては慎重を期していますが、台湾周辺の海や空では、台湾側が一方的に定めた境界線は無視され、大陸の台湾省への統治力が強化されつつあります。大陸・台湾両方の知恵によって、平和統一は着実に進められようとしています。それに対し、日本は干渉したり、邪魔をしたりすべきではありません。

3.「一つの中国」への明確な態度表明

カイロ宣言、ボツダム宣言、降伏文書、国連2758号決議などによって、一つの中国原則は国際法で決められています。米日で台湾地位未定論が出ていますが、それは全く邪論に過ぎません。また、日本は国交正常化共同声明で台湾は中国の領土であることを「理解し、尊重する」と言っているだけであって、認めているわけではないとの言説も詭弁です。1998年の共同声明では、台湾問題について「改めて中国は一つであるとの認識を表明する」と書いてあります。台湾を巡る中国の対日不信感を拭うためには、より明確な表現で「一つの中国」を認めるべきです。またアジアと世界の平和のために、むしろ台湾の平和統一を促す政策をとることが賢明な策です。

4.忘れてはならない「敵国条項」の存在

1950年代初めに、全面講和か単独講和かの論争が日本国内で展開されました。中国の存在が無視され、単独講和が結ばれたため、敵国条項が清算されにくくなりました。日中国交正常化が実現し、敵国条項削除の機運が高まり、1995年の総会において削除作業開始の決議がなされましたが、そのままになっています。日本の総理大臣や閣僚が戦犯を祀っている靖国神社に参拝するなど歴史認識が問題視され、今に至っても解決される見込みが立っていません。そのため、もし日本の自衛隊が台湾問題に介入するようなことがあれば、中国は国連の決議を経ることなく、枢軸国日本の全土に武力行使を行うことができるのです。また、日本の台湾地位未定論に対して、中国は沖縄(琉球)地位未定論を打ち出そうとしています。日本は実に厄介な一連の問題に直面することになります。

5.認識すべきは「四文書回帰が唯一の道」

1972年の国交正常化・日中共同声明をはじめとする日中友好四文書によって、日中間に存在する複雑な問題、例えば台湾問題、賠償問題、旧敵国条項、沖縄地位未定論、歴史認識問題など全てが封印され、日中友好関係が大いに進み、両国の平和と発展を見ることができました。ところが四文書を顧みず、中国の台湾統一を妨げようとして自衛隊を出動させるようなことになれば、全てがひっくり返り、日本は完全に孤立した状態に陥ることになりかねません。ドイツとイタリアはファシズムと決別し国際社会の仲間入りを果たしましたが、日本は軍国主義と決別できず、重要な隣国中国の理解を得ることができないでいるからです。

6.「日中平和友好条約第二条」で世界平和を主導

日本が台湾問題で正しい立場をとり、歴史認識問題にけじめをつければ、日中平和友好条約第二条の反覇権条項に基づいて、中国と共に世界平和を主導することができます。中国の軍事力予算は現在米国の約3分の1ですが、米国を上回る必要はないと言われています。覇権を求めないからです。米国は覇権主義を維持できなくなっており、中国と共に覇権なき世界秩序の構築に取り組まざるを得なくなるでしょう。世界に輝く平和憲法の下で、日本は中国と共に世界の軍縮を進めることができ、世界中に展開している米軍基地は国連の管理下に置かれるようになるでしょう。これは米国にとっても大きな利益となるからです。

最後に、以上六つの提案は、必ず日中両国の有識者および一般の人々から支持を得られると確信しています。閣下から何らかのメッセージが得られれば幸いに存じます。

■筆者プロフィール:凌星光

1933年生まれ、福井県立大学名誉教授。1952年一橋大学経済学部、1953年上海財経学院(現大学)国民経済計画学部、1971年河北大学外国語学部教師、1978年中国社会科学院世界経済政治研究所、1990年金沢大学経済学部、1992年福井県立大学経済学部教授などを歴任。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

インフルエンサー募集中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携