世界各国の「西遊記」、日本では三蔵法師が女性に、韓国では孫悟空が死亡―中国紙

Record China    2014年7月15日(火) 22時40分

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15日、「西遊記」の作者である明代の小説家、呉承恩は生涯、官僚として成功することなく、生活に困窮し、怪異小説を書くことによって内心の憤りと不満を表現したという。自分の書いた小説が後世に古典となるとは思いもよらなかったことだろう。

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2014年7月15日、「西遊記」の作者である明代の小説家、呉承恩(ウー・チョンエン)は生涯、官僚として成功することなく、生活に困窮し、怪異小説を書くことによって内心の憤りと不満を表現したという。だが自分の書いた小説が後世に古典となり、大胆なリメイクや翻案まで行われるとは思いもよらなかったことだろう。中国国内に複数のバージョンがあるだけでなく、日本や韓国、欧米などでもこの作品を元にした漫画アニメ、ドラマ、映画などが作られ、「東土大唐から来た唐僧」を米国人が演じていたりもする。武漢晨報が伝えた。

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米AMCテレビはこのほど、「西遊記」に基づくカンフードラマ「Badlands」の制作発表を行った。偉大な戦士と男の子が極楽世界を探しに行く冒険の物語である。最初のシーズンは1時間ずつの6話からなり、2015年末か2016年初めに放送開始となる。ドラマ「ヤング・スーパーマン」のプロデューサーであるMiles MillarとAl Goughが共同で企画し、ダニエル・ウー(呉彦祖)やスティーブン・フォン(馮徳倫)、映画「ジャンゴ 繋がれざる者」の制作総指揮のマイケル・シャンバーグとともにプロデューサーを務める。ダニエル・ウーとスティーブン・フォンはさらに、カンフー指導チームにも加わることとなっている。

▼日本:三蔵法師に女性スター配役

「西遊記」は日本では1920年代、30年代にすでに漫画やアニメ、映画にリメイクされていた。1926年の大藤信郎監督による短編アニメ「孫悟空物語」は、のちに多くの漫画家によって利用される原型となり、「最遊記」や「ドラゴンボール」などの人気作品を生み出した。

日本の漫画・アニメ界の父であり「漫画の神」とされる手塚治虫は、中学時代に中国のアニメ「鉄扇公主」を見て、漫画家を志すようになったとされる。1952年に連載開始となった漫画「ぼくのそんごくう」は、手塚ならではのタッチで孫悟空がかわいい熊のように描かれ、神通力を持っているが親しみやすいキャラクターが生み出されている。

日本の大手テレビ局はこれまでに、「西遊記」を題材としたドラマを少なくとも5本制作している。理解しにくいのは、三蔵法師がこれらのドラマで、宮沢りえや牧瀬里穂などの女性スターに配役されていることだ。2006年にフジテレビが制作したドラマでは、深津絵里が三蔵法師を演じ、第1話で29.2%の高視聴率を記録した。劇中では、香取慎吾が孫悟空、伊藤淳史がひょろりとした猪八戒、内村光良が沙悟浄を演じている。この沙悟浄は、女好きで喧嘩っ早く、頭のキレがよいだけでなく、シンボルの杖も猪八戒に担がせている。孫悟空がスケボー風の筋斗雲に乗っていたり、唐代の女性が皆チャイナドレスを着ていたり、これまでにない小道具が使われている。女性の三蔵法師が泣き虫で、とぼけた孫悟空と恋愛を始めるなど、キャラクターの設定も大胆に変更された。

▼韓国:孫悟空が死亡

中国の1980年代生まれの若者で小さい頃、韓国アニメ「飛べスーパーボード」を見たという人は多いだろう。三蔵法師がジープを運転し、孫悟空がヌンチャクを持って空飛ぶスケートボードに乗り、猪八戒がサングラスをかけロケット砲をかつぎ、沙悟浄がピコピコハンマーを武器にするというハチャメチャな設定。孫悟空が記憶喪失になって72変化の仕方を忘れてしまい、歯ブラシを持って呪文を唱えると変身できるという話にもなっていた。

韓国では、日本のアニメ「ドラゴンボール」やチャウ・シンチー(周星馳)のシリーズ映画「大話西遊」、韓国の漫画家・許英万の「ミスター孫」などの影響で、三蔵法師と弟子たちのイメージはおなじみとなっている。1960年代には、韓国のカンフースター・朴魯植が、孫悟空を主役とした一連の冒険アクション映画に出演している。KBSテレビも1991年以来、これを題材としたアクションドラマを打ち出している。

2011年は、韓国の申東曄監督がファンタジー映画「西遊記リターンズ」を打ち出した。物語は2011年のソウルで起こる。工事現場で見つかったひょうたんの封印を開けてしまったために、邪悪な勢力が目を覚まして人間に災いをもたらした。そこで科学者らがDNA技術で孫悟空一行を復活させる。劇中、よみがえった牛魔王や金角・銀角大王、白骨夫人らの妖怪は、三蔵法師の肉を食うという願いはよそに、ウイルスを作って地球の破壊を企むという設定になっている。牛魔王はもともとの相手である鉄扇公主のことは忘れてしまい、白骨夫人とこそこそ話している。女性になった三蔵法師はハイヒールをはき、孫悟空と恋に落ちる。最も驚かされるのは、映画の最後で孫悟空が死んでしまうことだ。

▼欧米:観音と三蔵法師が恋愛

2009年初め、ドイツのSuper RTLテレビは、ドイツと米国の合作の2話からなるファンタジー作品「モンキーキング―2つの世界の間の闘士」を放送し、好評を得た。独特のスタイルで、ファンタジー性に満ち、笑えるシーンがたくさんあり、ロマンティックな要素もあるとされ、「ついでに中国の歴史もわかる」と言われた。だがこの作品は、華人の間では悪評で、中国文化を冒とくするものだと退けられた。華人のセクシー女優・白霊が演じる観音菩薩は公然と三蔵法師と恋愛し、三蔵法師は鼻が高く彫りも深い米国人が演じているのだ。

華人の観衆と欧米の観衆との間に横たわる文化的差異が、一方では好評、もう一方では悪評を生んだ。米国の有名監督、スティーブン・スピルバーグが「西遊記」をリメイクすると言っても、華人の間では心配の声が上がるだろう。情報筋によると、スピルバーグ監督は数年前、北京を訪れた際、多くの中国人監督や脚本家、プロデューサーに会い、「西遊記」のメガホンを執ることに意欲を示した。だが中国の映画ファンらは、スピルバーグ監督が西遊記を「ロード・オブ・ザ・リング」、孫悟空を「キングコング」のように撮ってしまうのではないかと恐れているという。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

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