日中軍事衝突起きればアベノミクスに大打撃、GDPを1%弱押し下げ=尖閣係争棚上げを―エコノミストの会

Record China    2014年5月23日(金) 7時17分

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22日、「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」(理事長・河合正弘東京大特任教授)は「東アジアの安定と繁栄のために―日中韓の共存共栄をめざして」と題する提言を発表した。東シナ海を「平和・友好・協力の海」として共同管理すべきだとしている。

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2014年5月22日、「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」(代表・河合正弘東京大特任教授)は「東アジアの安定と繁栄のために―日中韓の共存共栄をめざして」と題する提言を発表した。日中間で尖閣諸島をめぐり軍事衝突が起きれば、日中両国のGDP(国内総生産)を1%近く押し下げると警告。係争は棚上げし、東シナ海を「平和・友好・協力の海」として共同管理すべきだとしている。日中韓3カ国政府に提言する。

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提言の要旨は次の通り。

日本と中国が尖閣諸島の領有をめぐる軍事紛争を引き起こさないこと、日本と韓国が友好関係を回復させることが重要だ。東アジア、アジア太平洋地域だけでなく、世界全体にとって大きな利益につながる。軍事衝突が起きればアベノミクスに大きな打撃となり日本経済の再生も行き詰まる。

日中韓の間で様々な経済協力を進めて共通の利益を高めることが重要だ。日中韓FTA(自由貿易協定)や東アジア経済連携協定(RCEP)の交渉が極めて重要だ。また、韓国や中国のTPP(アジア太平洋経済連携)交渉への参加を支持する。

尖閣諸島めぐる問題については、事実上の「棚上げ」を行い、実力・武力で問題の解決を図ることを避ける。日本と中国は偶発的な軍事衝突を避けるためのホットラインや危機管理メカニズムを設定する。そして、尖閣諸島周辺の海域・漁場を含む東シナ海全体を「平和・友好・協力の海」として共同管理していくことも視野に入れるべきだろう。最終的には、領土の帰属は国際司法裁判所(ICJ)の裁定に委ねて解決することを模索すべきだ。

日本と中国・韓国との間では歴史認識や歴史観の上で違いがあるが、歴史認識の共通化の作業を歴史学者など研究者に委ねる一方で、政治家はナショナリズムをあおる解釈を示すべきでない。日本は従来の歴史問題の認識で後戻りせず、真摯なかたちで取り組み、中国・韓国と未来志向的な関係を築くことが必要だ。「村山談話」「河野談話」を踏襲し、首相や主要閣僚による靖国神社参拝を避けるべきだ。靖国神社に代わって、国民全体が戦没者の慰霊を行える新たな施設を設置することも必要だろう。

北朝鮮による核・弾道ミサイル開発や、中国の海洋(東シナ海・南シナ海など)での行動に対しては、バランスのとれた安全保障体制を確立させていく必要がある。そのためには、「日米同盟の強化」、「中国との互恵関係の重視」、「アジア諸国との連携」を中心に考えることが現実的だ。日本は政治と軍事では米国と連携し、経済では中国と戦略的な互恵関係を深めるという複数の軸足をもつことを確認する必要がある。

アジアの将来シナリオとしては、ベストな「アジアの世紀」、「中所得国の罠」、ワーストな「アジアの破局」という3つのシナリオが考えられる。日本・中国・韓国は、最悪の「アジアの破局」のシナリオを避け、「アジアの世紀」を実現させることがすべての関係諸国にとって最大の利益をもたらすという確固たる認識を持つべきだ。

日中間で尖閣問題を巡り軍事衝突が起きれば、経済に与える影響は甚大で、日本で0.77%、中国で0.92%それぞれGDPを押し下げる。日本・中国が軍事衝突を回避し、朝鮮半島の安定化をめざして、平和裏に経済成長・発展を図る必要がある。加えて、中国は「中所得国の罠」に陥らないようにするために、生産性の向上、所得格差の是正、環境改善に取り組み、「法の支配」に基づく透明性と説明責任の高い社会・政治体制をつくりだしていく必要がある。(取材・編集/HY)

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