<日本人が見た中国>没弁法(仕方ない)を連発する総経理

Record China    2013年12月6日(金) 6時25分

拡大

「没弁法(メイバンファー)」―この言葉は日本語で「仕方ない」、「どうしようもない」という意味なのだが、私が最も聞きたくない、最も嫌いな中国語の単語の一つである。(文:柳田洋)写真は中国の縫製工場。

(1 / 2 枚)

「没弁法(メイバンファー)」―この言葉は日本語で「仕方ない」、「どうしようもない」という意味なのだが、私が最も聞きたくない、最も嫌いな中国語の単語の一つである。なぜなら、この単語を使う人は、自分の責任は棚に上げて、原因を全て外的要因のせいにする場合が多いからである。(文:柳田洋)

その他の写真

私は以前、ある国有企業との合弁会社を経営していたときに、その会社の董事会(取締役会)でこの単語を連発する人を見たことがある。その国有企業から出向してきていた合弁会社の総経理(社長)だ。

当時、この合弁会社の業績は可もなく不可もなく、若干の黒字を出しながらのんびりと経営されていた。しかし、その結果に満足がいかない私は、董事会で総経理に対して、営業強化による売上アップや、コストの更なる削減を求めていた。

しかし、総経理はどの要求に対しても様々なできない理由を挙げて、最終的には「没弁法」で締めくくった。

この総経理のやる気のなさは、国有企業出身者ならではのものであると思われた。なぜなら、昔の中国の国有企業の第一義は、利益を出すことではなく、雇用を生み出すことにあったからだ。総経理からしてみれば「社員がみんな楽しく働いて、全員にきちんと給料を払えるだけ稼いでいるんだから、それで十分じゃないか」ということなのだろう。

この合弁会社は私の会社が半分以上の株を持ってはいたが、合弁相手の国有企業から業務に欠かせない免許を使わせてもらっている手前、総経理の更迭決議は合弁の解消を意味する。そこで私は、民間企業出身者を副総経理(副社長)として送り込んだり、優秀な若手社員を管理職に抜擢して社内の改革を図ったが、総経理をはじめとする国有企業出身幹部の岩盤のようなやる気のなさに阻まれ、最後まで業績が改善されることはなかった。この合弁会社は現在、清算手続き中である。

今の中国の各都市は、目覚ましい発展を遂げ、ものすごい勢いで変化しているが、人の心や考え方はそう簡単に変わるものではない。ずっと国有企業でのんびり働いてきた人に、いきなり売上を上げろ!コストを減らせ!利益を増やせ!などと言っても、それは無理な話だ。

全ての国有企業の人たちが「没弁法」を連発する、とは言わない。しかし、中国企業と一緒に合弁会社を作るに当たっては、良くお付き合いをして、相手の考え方を十分に理解し、同じゴールを目指せるパートナーなのかを見極めた上で決断する必要があるように思う。

■筆者プロフィール:柳田 洋

永豊有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。現在は中国での会社経営経験を生かし、中国に積極展開しようとしている日本企業の社員を対象に、講演、助言などのサポート活動を行う。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携