<日本人が見た中国>新疆ウイグル自治区で警察に拘束される

Record China    2013年9月30日(月) 21時0分

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新疆ウイグル自治区南部の小さな町チャルクリク。ここで写真を撮っていたところ、軍人にスパイだと疑われ警察に連行され、1日拘束された。あとで知ったが、新疆でこのように不当に拘束された旅行者は多いようだ。写真は新疆ウイグル自治区チャルクリク県ロプ・ノール。

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2013年9月20日、ある田舎町の警察署の一室で、私は取り調べを受けていた。かれこれもう6時間も椅子に座らされ、外に出られないのはもちろんのこと、トイレにまで監視人がついてくるありさまだった。少し離れた所で警察官や軍人が私のパソコンをのぞき込み、時折おしゃべりしながらクスクスと笑った。私の神経はそのたびに逆撫でされた。

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中国最西部、新疆ウイグル自治区南部のチャルクリク(中国語名:若羌)。私が拘束されていたのは、砂漠のただ中にあるこの小さな町の警察署の一室だった。シルクロードのオアシス都市として栄えた有名な楼蘭や、ミーラン遺跡への基点となる町だ。ガイドブック作成の仕事をしている私は、町の地図のチェックや観光名所の撮影のためにこのチャルクリクを訪れていた。

事の始まりはこうだった。チャルクリク滞在2日目の朝、あるホテルの外観写真を撮影していると、迷彩服を着た軍人が駆け寄ってきて、強い口調で写真を見せろと言った。怖くなった私は大声をあげて抵抗した。しかし助けは来ず、何人もの軍人が私を囲み、カメラをつかんで今にも奪いそうだ。今撮った写真がいけないのなら削除してしまえばいい。隙を見てメディアを初期化し、さあこれで問題ないだろうと思ったが、それが余計に彼らの疑いを強める結果となったのだ。

やがてパトカーがやってきて警察へ連行された。前日歩き回って書き込んだ町の地図は取り上げられ、私の仕事用パソコンは調べを受けることになった。つたない中国語、英語、日本語で状況を散々説明したが、日本語を話す警官ですら、私が軍事施設を撮影しに潜入したスパイだと思い込んでいるようだった。これまで何度も中国を訪れていたが、こんなことは初めてだった。2012年の夏というと、ちょうど日中の関係が悪化した時期にあたり、通常よりぴりぴりしていたというのもあるのかもしれない。

捜査は非常に効率が悪く、延々と続いた。しかし結局パソコンからは、私が悪人だという証拠は出てこなかったようだ。ついに辺りが暗くなり、うんざりした私が勝手に警察を出てきても、もう誰も追いかけてはこなかった。街を再度歩き回って気が付いたが、この小さな町では夜になるといたる所でパトカーが走っており、その多さは異常なほどだった。翌日改めてパソコンを取りに行ったが、係りの女性は私の犯罪の証拠を見つけられなかったからか、苦々しい顔でパソコンを持って行けとあごをしゃくった。

あとで聞いたところ、新疆で私と同じように拘束されたことのある日本人は結構多いようだ。ウイグル族と、民族同化政策の一環として移住を続けている漢民族との緊迫した関係が、警察の権力を濫用させる結果になっているのだろうか。

■菅沼佐和子

神奈川生まれ。2002年から約3年半かけて、ユーラシアとアメリカ、アフリカ大陸の一部をバックパック旅行する。旅の経験を活かし、現在は東京を拠点にフリーランスの旅ライター兼旅行ガイドブックの編集者として活動中。

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