尖閣戦争を描いた小説を批判=「右翼作家が釣魚島にからめて改憲を後押し」―中国メディア

Record China    2013年9月4日(水) 11時47分

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3日、新華網は、日本で出版された尖閣諸島での局地戦を描いた小説を紹介し、「右翼勢力による改憲の後押しをしている」と評した。

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2013年9月3日、新華網は、尖閣諸島での局地戦を描いた日本の小説を紹介し、「右翼勢力による改憲の後押しをしている」と評した。以下はその内容。

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8月15日、日本の敗戦記念日(終戦記念日)で安倍首相は「不戦の誓い」に触れなかった。首相の式辞に「不戦の誓い」が盛り込まれなかったのは1994年以来、初めてのことだ。

8月6日には中国を侵略した戦艦と同名の「いずも」が進水し、7月29日には麻生副首相が「ナチスを見習え」という発言をした。安倍内閣は憲法第96条を改正し、最終的には第9条を変えようとしている。

一連の動きは、日本国内の右翼が過去数十年間にわたって主張してきたことだが、東シナ海情勢が注目を集める中で、国内の好戦派がこれを釣魚島(尖閣諸島)問題と結びつけてしまった。

その例の一つが、昨年12月、日本の潮書房光人社から出版された『尖閣諸島沖海戦―自衛隊は中国軍とこのように戦う』だ。作者は元海上自衛官の中村秀樹で、釣魚島局地戦を虚構化して描いている。

中村氏は憲法が武力行使を制限していること、武力行使に対する国内のさまざまな見方など、「日本と自衛隊の存在についての法的、社会的制約の問題」を盛り込んでいる。その観点は、「この制限を乗り越えなければ、日本は安保問題を解決できない」という、この手の人物たちの偏った考え方を体現している。

本書は2020年頃を舞台に、海上自衛隊情報部や防衛研究所に勤務した作者が、真実に近い情報を用いてストーリーを進めている。

本書の物語は、中国が一般人を装った部隊を釣魚島に派遣するところから始まる。日中の艦船が交戦し、双方が深刻な損害を受ける。最初の衝突の後、日本の平和的勢力が優位に立ち、「平和的に法的手段によって処理する」ことを願う。作者はこの姿勢を「意味のない混乱と優柔不断では時間を浪費するだけ」と断じている。

その後、中国が釣魚島付近の宮古列島の自衛隊レーダーサイトや、那覇の自衛隊飛行場を襲撃し、自衛隊の哨戒、反撃戦力を壊滅させる。福建省から輸送機が派遣され、自衛隊機はこれを迎撃するが、自衛隊法に縛られて先制攻撃することができず、中国の輸送機をみすみす着陸させることになり、開戦から一週間で中国軍は宮古島、釣魚島を含む先島諸島を無血占領する。

作者は小説の冒頭で、危機状況においては憲法と自衛隊法による武力行使の制限することを描き、一方的かつ極端な描写によってこれらの法が日本の安全にマイナスの影響を与えると強調する。

開戦三週間後、作者の愛する自衛隊潜水艦が中国の駆逐艦を撃沈し、日本の反撃が始まり、最終的には開戦から三カ月で中国軍が釣魚島から撤退するというシナリオになっている。

小説のあとがきで中村氏は「本書の内容は合理的な想像の範疇を超えたものではないが、その中で日本に有利な条件を描いた。もしも本書が私の本当の考えを反映したものであれば、日本が尖閣や先島を奪回できないシナリオになっていただろう」と述べている。

本書では、中国が日本に偶然の事件を装って戦争を発動しているが、これは日本が70年前に対中戦争を拡大したやり方そのもので、この手法に日本の軍関係者が大きな影響を受けていることが伺える。

また、本書では米軍による日本への支援が情報提供のみにとどまっており、ロシアや韓国、北朝鮮は参戦していない。中村氏はこれによって、日本は単独で中国に向かい合わなければならないという危機意識を際立たせている。

釣魚島をめぐる戦争を描いているのは中村氏一人にとどまらず、日本の出版界において、釣魚島戦争はもはやタブーではなくなっている。作家たちに共通するのは「釣魚島の争奪のカギは沖縄地域の軍事基地にある。狭い釣魚島に強大な兵力を配備することはできないため、戦争が始まれば、宮古島、下地島といった大きな島が争奪の焦点になる」という考えである。本書においても、日本軍の反撃の重点はこれらの島々であった。

根本のところで、右翼作家たちの矛先は憲法と法体系による武力行使の制限に向いており、「釣魚島の戦い」を口実に、日本が直面している戦争の危機をあおり、右翼勢力が憲法を改正する後押しをする手段と化しているのである。(翻訳・編集/岡本悠馬)

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