アベノミクスが日本経済にもたらした効果と副作用―中国メディア

Record China    2013年7月6日(土) 19時30分

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5日、日本のマクロ経済情勢は今年上半期、安倍政権のいわゆるアベノミクスにより、回復の強い流れを示した。一方でこれによる副作用も同時に現れ、その長期的なプラス効果が疑問視されている。

2013年7月5日、日本のマクロ経済情勢は今年上半期、安倍政権のいわゆるアベノミクスにより、回復の強い流れを示した。一方でこれによる副作用も同時に現れ、その長期的なプラス効果が疑問視されている。新華網が伝えた。

安倍首相は昨年12月の就任以来、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」を3大支柱とするアベノミクスを推進してきた。日本政府は今年1月15日、補正予算案を通じて10兆円以上の規模の緊急経済対策を発表した。日銀は4月4日に超量的緩和策を発表し、2年内にマネタリーベースを2倍に拡大することを決定した。安倍政権は6月14日、行政規制緩和、民間投資の刺激を重心とする、経済成長新戦略を発表した。これにより、アベノミクスの3本の矢がすべて放たれた。

◆近日の好調なデータ

最新のデータによると、アベノミクスは日本経済の回復に対して即効性を見せている。6月10日に内閣府が発表した季節調整済み改定値によると、第1四半期の国内総生産(GDP)は年率換算で4.1%増となり、それまでの3.5%の予想を上回った。長期低迷していた日本経済にとって、これは「高度成長」と呼ぶことができる。

その他の主要経済指標も輝かしいものとなった。日本の5月の鉱工業生産指数は前月比で0.2%上昇し、4カ月連続の上昇となった。小売業の売上高は前年同月比で0.8%増となり、5カ月ぶりの増加となった。住宅着工件数は前年同月比で14.5%増となり、9カ月連続の増加となった。

日銀が7月1日に発表した企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、日本の6月の大企業製造業業況判断指数(DI)が前回調査より12ポイント上昇し、2011年9月以来で初めてプラスに転じた。

国際通貨基金(IMF)が4月に発表した経済展望報告は、今年の日本経済の成長率を1.6%に上方修正した。日本経済研究センターもこのほど、2013年度の日本のGDP成長率が2.6%に達すると予想した。

◆アベノミクスの副作用

アベノミクスの最も分かりやすい効果は、大幅な円安と株価の高騰に現れている。昨年12月に安倍首相が就任してから、円相場は20%超低下し、株価は約70%上昇した。

円安と株価高騰は日本企業の業績を力強く支えた。東京証券取引所の一部上場企業が発表した上半期決算によると、7割以上の企業が収益を上方修正した。円安と米国市場の回復により、日本の5月の輸出額は前年同月比10.1%増となった。第1四半期は個人の消費需要が旺盛で、その一部は株価高騰による資産効果だった。

しかしアベノミクスの副作用も現れ始めている。

まず、超量的緩和策が市場の変動を激化させている。日経平均株価は5月23日に1000円超の暴落を起こし、株価の乱高下の序幕を開いた。日銀は国際の大量購入による長期国債利回りの引き下げを実現できなかった。円相場は米連邦準備制度理事会を中心とする海外中央銀行の政策と海外の投資家心理の影響を受けた。

次に、アベノミクスは中小企業や一般人に利益を与えていない。6月の日銀短観によると、大企業の景況感が上向いたが、中小企業の景況感は依然としてマイナスで推移している。富裕層は株や不動産の価格上昇による資産効果を受けているが、サラリーマンの増給の可能性は見えていない。

さらに、食品や日用品など輸入品の価格が大幅に上昇し、中小企業の経営コストと一般消費者の生活負担が増加している。

◆持続性が疑問視

市場と経済の変動に伴い、アベノミクスを疑問視する声が後を絶たない。

まず、日銀が発表した2年内に物価を2%上昇するという目標に対して、多くの日本人エコノミストが懐疑的な態度を示している。「ミスター円」と呼ばれている元大蔵官僚の榊原英資氏はこのほど、この目標は基本的に「夢」に過ぎず、超量的緩和策をさらに長く続けなければならないと指摘した。早稲田大学のエコノミストの野口悠紀雄氏は、超量的緩和策は海外から大量の投機的な資金を流入させるが、投資を引きつけられないと指摘した。

安倍政権の大規模な財政刺激プランに対して、市場は日本の財政状況のさらなる悪化を招くと懸念している。日本政府の推算によると、年末までの政府債の対GDP比は約250%に達する見通しだ。財政刺激策、日本政府が検討中の企業投資減税により、公共財政の赤字が拡大する恐れがある。

安倍政権の発表した経済成長戦略の数多くの漠然とした目標についても、その実行性が疑問視されている。過去10数年間にわたり、日本の歴代政権は経済成長戦略を幾度も推進してきたが、多くの対策は新鮮味がなく、大きな成果があがらなかった。安倍政権が今回発表した成長戦略は多くの敏感な分野で、根本的な問題点を掘り下げられなかった。

消費税増税もまた、アベノミクスに難題を突きつけている。日本政府は10月に、来年4月に消費増税第1弾(現行の5%から8%に増税)をスタートさせるかを確定する。安倍首相の経済ブレーンの浜田宏一氏は、アベノミクスのつまずきを回避するため、消費増税の時期を遅らせてはどうかと提案した。しかし一時的な増税見送りは、市場の日本国債および財政再建に対する期待に深刻な影響を及ぼし、同じく高いリスクが存在する。

海外経済の動向はアベノミクスが直面するもう一つのリスクだ。最近の市場動向を見ると、米国・中国の市場および米連邦準備制度理事会の政策にわずかな変化が生じただけで、日本の金融市場に大幅な変動が生じることが分かる。

みずほ総合研究所のチーフエコノミストの高田創氏は、アベノミクスは米国経済回復の勢いを借りたものであり、米国経済・金融政策に変化が生じた場合、日本はその衝撃を回避できないと指摘した。高田氏はまた、7月の参議院選挙の後、安倍政権が改憲などの政治的課題ではなく経済的課題に専念し続けるか、アジアの隣国との関係を適切に管理できるかも、市場の注目する政策リスクだと強調した。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF)

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