<日本人が見た中国>おごり、おごられる時の儀式

Record China    2013年5月18日(土) 10時10分

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中国の友人と食事に行くとき、あらかじめ友人がおごってくれるとわかっている場合は、いったいどういう態度をとったらいいの?素直に「ありがとう」じゃだめなの?中国には、おごりおごられる時のマナー、儀式があった。写真は北京ダックのレストラン。

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2012年秋、北京で四川省出身の友人、林小姐(リンさん/36才)に四川料理のレストランにつれていってもらった時のこと。私と林小姐は北京で会う時は交互におごることになっていた。その日は林小姐がおごってくれる番だった。会計のとき、私が財布を出しもせず「どうもありがとう!」と言うと、一瞬、林小姐の顔が驚いた。

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というのも、中国ではどの地方のレストランに行ってもよく見られる光景だけれど、お会計のとき、一緒に食事したもの同士が「ここは私が(払います)!」、「いやいや、今日は私が!」と誰もが伝票を奪いあっている。だから私が「今日は友人がおごってくれる番だから」といって、すんなりお礼を言ったことに林小姐はびっくりしたのだ。

それで新疆、江蘇、安徽省出身の友人たちに質問をしてみた。「レストランで『今日は私が!』と互いに言い合っているけど、本当は自分が払う番だったのに相手の勢いにまけて、相手に払ってもらったなんてあるの?」。全員が「それは絶対ない」と言い切る。友達同士何人かで行くときも暗黙の了解で今日は誰が払うか決まっていて、それが崩れることはないそうだ。「それなら『今日は私が!』と言っていても最初から払うつもりはないわけでしょ?そんな演技をするのは面倒だから『今日はありがとう』と言えばすむことやん?」と言うと、「それもだめ」だという。例え、今日は相手が払うとわかっていても、財布をだし「今日は私が!」というのが中国人のお勘定をする時のマナーというか儀式らしい。

2013年の旧正月前、北京でまた林小姐と食事をすることになった。この日はたまたま私の夫も来ていて、東北餃子を食べることになった。お勘定はもちろん夫が払った。彼女は翌日の大晦日の夜も暇だというのでまた、私たちと食事をすることになった。夜7時、老舗北京ダックのレストランにつくと、林小姐はもうついていた。私たちが席につくやいなや「今日は絶対、私が払うからね!」と言う。「別にいいわよ。今日は昨日より高いし、こっちは二人だし」と断ると「だめ!今日は私のおごりよ!」

そしてお勘定の時がきた。実は私は内心、あんなに今日はおごると言い張るんだから、彼女に払ってもらってもいいのかな?なんて思っていた。夫が財布を出すと「だめ、だめ、私が払うわ」と林小姐。一応、私は儀式として「いいのよ。今日は私が」と言うと「じゃ、今度、北京に来たときは絶対、私が払うわ」とすんなり夫が払うことで落ち着いた。えっ!そんなにあっさり?

男性がいる場合は男性が払うのはお決まりとしても、たとえ1度でも「今日は私が!」の儀式は必要なのだ。日本人から見たらこの儀式、ああ、面倒くさい!

■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)

1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力につかまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。

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