アニメ+コミック+ゲーム=ACGオタク!日本発カルチャーは日中の若者をつなげるか?

Record China    2013年3月16日(土) 19時18分

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「ACGオタク」という言葉をご存じだろうか?これは、日本発のアニメ・コミック・ゲームに夢中になる若者を指した中国語圏での造語である。日本文化と言えば、従来は茶道や剣道などの伝統文化が知られていたが、イマドキの若者の間ではこの「ACG文化」が広まっている。

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「ACGオタク」という言葉をご存じだろうか?

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これは、日本発のアニメ(Animation)・漫画(Comic)・ゲーム(Game)に夢中になる若者を指した中国語圏での造語である。

一般的に日本文化と言えば、従来の中国でも茶道や剣道などの伝統文化が知られていたが、イマドキの若者の間では、この「ACG文化」が広まっている。既に多くのメディアで取り上げられている通りだ。

もともと限定的にしか販売されていなかったアニメや映画などのコンテンツが、インターネットの普及によって徐々にオンラインに移行し、今やテレビドラマよりも日本のアニメや漫画を好んで視聴する若者が多数いる。日本カルチャーに共鳴し、2010年ごろには日本でいうところの「オタク」というセグメントが大幅に拡大した。

これと前後するように、2009年あたりから北京などで開かれるようになった「声優イベント」はまさに、時機が熟して来た事を表す結果だと思われる。これまで大御所から若手声優までが招かれてきたが、山口勝平(代表作:名探偵コナン)と成田剣(代表作:犬夜叉)が初登場したイベントでは、入場時の歓声で天井の照明が割れたほどだった。「考えられないほどすごい歓声で、パリン、という音と共に天井から照明ランプの粉が降ってきました。」

これらのイベントを主催した于智為(ユー・ジーウェイ)さんは、中国の最高学府・清華大学でサークルを主宰してきた。彼によると、イベント来場者の大多数は大学生の若年層であるという。彼自身もオタクを自認し、「イベントに招へいした声優さんたちが出演するアニメを、子供のころから見て育ちました」と話す。子供のころに漫画本やVCD、雑誌などで知った作品群は、大きくなってからインターネットで詳細を追えるようになった。そしてますます好きになっていく。最終的には言葉の壁を越えて、イベントを主催するまでになった。

声優の招へいイベントのほかに、「アニソン大会」も開かれるようになった。アニメ好きがアニメの歌で競い合うイベントである。北京では毎年恒例の「アニソン夏の陣」「冬の陣」はいずれも300〜500人が集まるイベントである。常に受け手であり、消費者でしかなかったアニメファンらがステージで歌い、それに声援を送るという構図が形成されていったのである。この手法はその後、中国各地で広まった。「遠く香港や四川から参戦する人もいます。カルチャーに対する飢餓感が、多くの人の心の奥底にあるのでしょう」と、前出の于さんは話す。

そして2013年3月。日中関係が微妙な時期に、北京のメイド喫茶「路地裏」で、あるステージイベントがささやかに開催された。これに出演した「M&M」は、上原真美と矢作昌子の2人で構成され、秋葉原や池袋のライブハウスで歌うインディーズのACG音楽ユニットである。

アキバ系インディーズ歌手として、北京で初めての舞台に立った2人。M&Mは現地では全く無名だが、収容人数30人ほどの会場で、8〜9日の両日にわたって歌を披露した。入場者の多くはアニメファン。最初はぎこちない手拍子しかできない観客たちだったが、M&Mが“オタ芸講座”を通じて舞台の盛り上げ方を伝授すると、イベント後半では観客が独自にオタ芸を披露する場面も見られた。(※オタ芸:アイドルや声優のコンサートなどで観客が行う独特のかけ声やふりつけ)

9日のイベントでは、器材トラブルで音響が止まる場面も見られたが、曲がない状態でも、観客らは歌手と共にアカペラで歌い、最後まで歌を歌いきった。アクシデントはライブでは付き物だが、このように観客に支えられて歌う経験には、メンバーも「大変貴重な収穫」「日本でもめったにない経験」と感慨を深めた。

一連のACG関連イベントにおいて、日中間に横たわる問題がまだ障害となっているが、そのACGこそ、その問題を乗り越えていく原動力になっていくのかもしれない。日本発のACG文化が、これからどんな奇跡を起こしていくか。今後も期待を込めて静観する価値があるだろう。(記事/峰岸宏行・撮影/BK+Mouse)

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