<コラム・巨象を探る>中国の経済構造改革、待ったなし=実力者揃え「背水の陣」―習新体制固まる

八牧浩行    2013年3月7日(木) 8時0分

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中国の習近平新体制が3月17日、正式に発足する。中国では急成長の歪(ひずみ)が山積する中、経済構造改革が待ったなしの状態。このため閣僚級人事では経済政策運営に重点が置かれ、実力重視の起用となる見込みだ。写真は第12期全国人民代表大会。

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中国の国会に相当する第12期全国人民代表大会(全人代)が北京の人民大会堂で開催されており、最終日の3月17日、習近平国家主席、李克強首相の新最高指導部が正式に発足する。中国では急成長の歪(ひずみ)が山積する中、経済構造改革が待ったなしの状態。このため閣僚級人事では経済政策運営に重点が置かれ、実力重視の起用となる見込みだ。

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温家宝首相は全人代初日に、経済政策運営方針について、「持続的で健全な発展」を目指すとぶち上げた。2013年の経済成長率目標を昨年と同水準の7.5%に設定、「安定成長」を前面に掲げた。高成長の歪の象徴である大気・水質汚染対策に総力を挙げると強調、環境対策費を前年実績比で12.1%増やす方針を明らかにした。

 

2013年の主な政策課題として、都市化の推進、投機的な住宅購入の抑制、産業構造の調整、環境保護―の4点を指摘。労働力不足や環境汚染、技術革新の遅れという深刻な課題を抱え、内需型の経済成長に移行できるかが最大のポイントとなる。

「持続的な安定成長」を大目標としており、2012年の7.8%から2013年には8%台の成長への回復が見込めるにもかかわらず、成長率目標を7.5%に据え置いたのはその表れだ。改革開放以来、30年以上にわたって平均で約10%の成長を続けてきた中国経済が大きな転機を迎えたことになる。

一方で、温首相は「経済成長は依然として、すべての問題を解決するうえでのカギだ」と強調。中国では格差が急拡大する中で、共産党の独裁体制や党幹部の汚職に市民の不満が鬱積(うっせき)しており、経済成長が止まれば、共産党支配の正統性の問題に直結する。習近平新体制はアクセルとブレーキの微妙な調節を必要とする、難しい経済運営を迫られ、抜本的構造改革待ったなしである。

 ▽税制抜本改革へ財務大臣にベテラン起用

このため、経済関係の主要ポストに実力者を起用し、万全を期す。党中央政治局常務委員会メンバーの張高麗氏が、筆頭副首相に就任して経済政策を統括する見込み。張氏は中国人民銀行(中央銀行)や財務部(省)などを主管するという。

リベラル派といわれる汪洋政治局員は副首相としてマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会や商務部(省)などの重要経済官庁を主管するとみられている。米中戦略・経済対話の中国側代表となる。

財務部長(財務大臣)には中国投資有限責任公司の楼継偉会長が抜擢される見通し。楼氏は、税制・銀行行政に精通した財務次官経験者で、懸案の税制抜本改革や地方政府債務対策に着手するにはうってつけの人物とされる。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁も定年を迎えたにもかかわらず留任することが決まった。人民元の交換性や金利自由化や対ドル関係の弾力化を推進し、世界の金融関係者から支持されている同総裁の続投が決まった。

高速鉄道建設などを管轄する巨大官庁で、「守旧組織」といわれていた鉄道省の解体も決まっている。習近平・李克強体制の新布陣は「経済抜本改革」に向け、「背水の陣」でスタートするが、課題は山積しており、その克服は容易ではない。

<「コラム・巨象を探る」その27>

<「コラム・巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事。近著に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)がある>

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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