「政治問題は棚上げ、経済を先行」、証券取引所CEOが日中関係語る―中国メディア

Record China    2013年1月7日(月) 10時50分

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5日、インド・ムンバイでこのほど、ボアオ・アジアフォーラム「アジア金融協力会議」が開催された。同会議に出席した日本取引所グループの斉藤惇CEOは会期中、取材で日中関係について語った。写真は斉藤惇CEO。

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2013年1月5日、第一財経日報によると、12月26、27日、インド・ムンバイでボアオ・アジアフォーラム「アジア金融協力会議」が開催された。同会議に出席した日本取引所グループの斉藤惇CEOは会期中、記者の取材に応じ、日中関係について「日本の国民は中国と良好な関係を築きたいと希望しており、日本のビジネスマンはいずれも尖閣諸島問題の早期解決を願っている」と指摘。また、中国が目標に掲げている「10年国民所得倍増」計画については、「実現すれば、中国の内需や経済の発展が促されるだけでなく、日本にとっても有益」との見方を示した。

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■中国の所得倍増計画は日本にとっても有益

2012年は日米などで指導者が変わったが、これが世界経済に与える影響は?

中国は恐らく今後もそれ相応の経済政策を継続し、所得倍増という問題にいっそう関心を寄せていくだろう。日本は1960年〜70年代、似たような歴史の過程を歩んできた。当時の日本政府は所得倍増を成功させた。中国の所得倍増計画は、日本人にとっても大変魅力的だ。中国は現在、貧富の格差がかなり大きい。もし格差の縮小が実現できれば、中国の経済発展にとって非常に大きな力となる。これは、5億の人口の所得が増えることを意味し、内需も大きく刺激される。欧州経済が不況の今、中国の欧州向け輸出も今後はますます困難になることから、これは輸出よりも重要な意味を持つ。中国の指導者も当然次のステップは中国の内需市場を育てることだとよく理解しているはずだ。

いったん中国国民の所得が上がれば、これが中国の消費を大きく促すことになるが、中国の労働力コストが上昇するに伴い、「メイド・イン・チャイナ」の競争力も低下する。日本を含めて多くの国が同じような過程を歩んできており、これはとても正常なことだ。長期的には、中国経済は必ず回復するだろう。これは日本にとっても有益だ。日本の新政府には、より国際的な視野で周辺国と友好関係を保ってほしい。

米国市場の先行きについては、慎重ながらも楽観的な見方を持っている。なぜなら、現在米国の住宅販売件数はすでに緩やかに回復しているからだ。住宅販売件数は米国の経済を読み解くデータの核心であり、これは1つの非常に良い兆候だ。

個人的には、米国の「財政の崖」(2012年末から13年初頭にかけて米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れることに対する懸念)はあまり大きな問題ではない。議会と民主・共和両党が「財政の崖」がもたらすリスクを認識していれば、最終的には折り合いが付き、解決策が見つかるはず。米国は過去にもこのような問題を何度も解決してきた。今回の金額は確かに巨額ではあるが、一部のいわゆる「富裕層」が新しい税制徴収法に従うことになる。しかし年収10万ドル(約880万円)以上という「富裕層」の基準をめぐり、激しい論争が起こっている。「財政の崖」がもたらすリスクが一体どのぐらい継続するかは、この論争の継続期間や論争に対する市場の反応によって決まる。このため、「財政の崖」には小さな確率だが依然としてリスクが存在する。

日中関係は今までも政治的要素に大きく影響を受けてきたが、尖閣諸島問題がもたらした両国の政治・経済の緊張関係はいつごろ回復するか?

国家間の政治の衝突は世界的にもよく見られること。賢いやり方は、政治上の問題は棚上げにすること。我々はすでに過去20〜30年間これでうまくやってきた。1949年、中華人民共和国が成立して以降、日中両国は友好関係を保ってきた。我々はこの友好的な関係を壊す必要性はない。実際、日本ではごく少数の極端な政治家がデモなどを通して不満を示しているが、大多数の日本の庶民は中国と良好な関係を築くことを希望しているし、これは両国にとっても有益だ。また、日本のビジネスマンはいずれも尖閣諸島問題の早期解決を願っている。我々は日中両国のトップ同士が腰を据えて対話し解決することを望んでいる。これが一番良い方法だ。

現在、日中韓3カ国は自由貿易協定(FTA)の交渉をすでに開始した。日中両国がまずは経済分野を先行させ、政治問題を棚上げにし、早期妥結することを希望している。つまり「政冷経熱」だ。

■人民元の国際化は明確、着実、緩やかに

すでに多くの日本企業がアジアの他地域でうまく投資を行っているが、日本企業が直面した最大の問題や挑戦は何か?

大部分の投資家からすれば、融資には何の問題も存在しない。もし投資に適していると評価すれば、日本の実業家と金融機関は投資することを希望する。多くの日本企業は多くのインド株やブラジル株を購入している。

アジアへの投資の最大の問題は、財産権にある。アジア各国の政府は、投資の財産権に関する問題を明らかにする必要がある。アジア各国の市場に資金を投入する場合、日本企業は投資家として本来一部の財産権を有するが、最大のリスクは、各国の政府が政策を随時変更する可能性があり、将来この財産権が回収されるかもしれないという点だ。もしこれらアジア各国が非常に明晰かつ透明性の高い規則を制定すれば、さらに多くの資本が流入するはずだ。

現在、中国は人民元の国際化に向け努力しているが、日本も過去に同様の経験がある。何かアドバイスはあるか?

個人的には人民元が緩やかに上昇していることはいいことだと思う。もちろん製造業の競争力を下げるという一面もあるが、中国人の購買力も高まる。しかし、短期間に人民元が突然急上昇すれば経済発展を妨げることになる。過去10年間で、日本も同様の教訓を得た。

中国政府にアドバイスをするとしたら、人民元の世界市場での自由兌換(だかん)に向け為替改革を明確かつ着実、緩やかに行うこと。現時点では、中国の国家為替管理局は中国資本の流入と流出を規制しているが、これも今後徐々に緩和させていかなければいけないだろう。こうして初めて人民元の真の価値や国際市場での真の信頼性が反映される。改革を明確に推進するということは、中国の中央銀行が全世界に向けて中国の為替改革の具体的なスケジュールを明確に示し、いつ規制緩和を行うのかを表明することを意味している。当然、いずれの国でもこのような改革を推進する際には激しい論争と抵抗に直面することになる。現在、中国は高度成長期にあるが、もし資本プロジェクトを開放せずに為替改革を行っても、実際の成長を反映することはできない。真に規制を緩和した後の成長こそが、真の競争力を体現する。そのとき、中国の経済成長は恐らくもう7〜8%ではなく、3〜4%になっているだろうが、それこそが中国経済の真の実力を示している。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/内山

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