中国人への侮辱はユーモア?仏雑誌を華僑団体が提訴―華字メディア

Record China    2013年1月3日(木) 0時55分

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仏華字メディア・欧州時報は、フランス社会で「差別されても声を上げない」中国人という風潮に変化が起き始めていると報じた。写真は週刊誌ル・ポワンの表紙。

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2012年12月31日、仏華字メディア・欧州時報は「華人じゃなくて、黒人やアラビア人、ユダヤ人だったなら、大騒動になりかねない」と題した記事を掲載し、フランス社会で差別される中国人に変化が起き始めていると報じた。31日付で中国新聞網が伝えた。

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フランスでは「華人」や「中国人」に関する話題というは、驚くほど「開放的」であり、中国人や華人、華僑コミュニティに対するどんな冷やかしや侮辱の言葉も許され、それが一種の「ユーモア」や、「ポリティカル・コレクトネス(言葉や用語に社会的な差別・偏見が含まれていない公平さのこと)」として受け入れられる。

分かりやすい例として、フランスの有名香水ブランドの社長は、テレビのインタビューで黒人を指す蔑称「ニガー」を使用したことで、6000ユーロ(約70万円)の罰金の支払いを命じられただけでなく、黒人による世界規模の同香水のボイコット運動が起き、本人が公式に謝罪する事態にまで発展した。一方、某コメディアンはテレビ番組で何度も中国人を指す蔑称を口にしているが、何のお咎めもなしである。それは一種のハイセンスな「ユーモア」として扱われる。その結果、フランスでは中国人や華人、華僑に対する差別は、咎められることもなく堂々とまかり通っている。

しかし、このような風潮に今、変化が起き始めている。上述の話は、フランス華僑青年協会の会長が、フランスの週刊誌「LE POINT(ル・ポワン)」が8月23日に、「悪巧みで大成功した中国人」というタイトルで掲載した文章に対して、述べた言葉である。フランス華僑青年協会は、ル・ポワンの文章があまりにも偏見に満ちており、「ギャング」や「娼婦」などといった差別用語で、フランスで生活する華人を侮辱し、明らかな人種差別を行っているとして、フランスの反人種差別団体「SOSラシスム」を代理に、週刊誌ル・ポワンを提訴した(フランスの法律では、成立年数が5年以上の協会でないと法的訴訟を行うことができない。フランス華僑青年協会は2009年に設立されたため、代理を立てて訴訟を行う)。

中国人や華人、華僑に対する人種差別が存在していることは、争う余地もない事実である。「人種差別」というと、正義感が強いフランス人には受け入れられないかもしれないが、彼らの中に、中国人に対する潜在的な差別意識が存在するのは事実だ。華人と言えば、「犬を食べる」「偽物を製造する」「マネーロンダリング」などのマイナスのイメージが付きまとう。フランスで生活する華人は誰しも、少なからず、この種の差別や不平等な待遇を受けたことがあるに違いない。敏感で、プライドが高い中国人なら、フランスに来て数日で、この特殊な中国人に対する人種差別を感じることができるのではないだろうか。長年生活していれば、なおさらだ。

これらの差別が感情の上に留まっていればまだしも、一部では、それが中国人に対する窃盗や強盗などの犯罪事件にエスカレートする。フランス北部のサン・ドニにあるチャイナタウンでは、概ねどの店も武装した犯罪者による強盗に遭っている。もはや、それはニュースにもならない日常的な出来事である。このような差別が、華人の身に危険を及ぼすような直接的な犯罪行為になりつつあることを受け、パリでは2年連続で華人による大規模なデモが行われている。

実際、華人に対する人種差別には、往々にして「ポリティカル・コレクトネス」という大義名分が付いている。つまり、中国は西側諸国の基準で見た民主主義国家ではないため、中国人を堂々と差別しても、罰を受けることはない。それこそ、今日のフランス社会に氾濫する中国人に対する人種差別の特徴である。

文学作品でも、中国人や華人、華僑に対する明らかな人種差別は見受けられる。映画でも、華人コミュニティは往々にして、ギャング集団として描かれる。

数年前まで、パリの空港では、中国人だけが入国検査を受けなくてはならなかった。中国政府の抗議によって、この規定はなくなったものの、フランス旅行経験者の多くが、帰国後に駐中国フランス大使館に呼ばれ、不法滞在せずに「きちんと」帰国したことを証明しなければならないという経験をしたことがあるのではないだろうか。

当初、初めてフランスに足を踏み入れた中国人は言葉も通じず、生きていくことに必死で、法に訴えて、自らの尊厳を守ることもできなかったはずだ。そのために、フランスでは中国人や華人を侮辱しても、罰せられることはなかった。しかし、フランスにも上流社会に進出し、高い地位にいる華人はいる。理解できないのは、彼らのような人々が、自分の同郷を守るために、表に出ることがあまりないことだ。この奇妙な風潮は、団結力が強い華人コミュニティのイメージとは、実に正反対である。

しかし、今日、フランスで生まれた華人の二世、三世は、これまでのフランス社会に根付く「差別されても声を上げない」という風潮を一変しようと動き出している。今回の週刊誌ル・ポワンに対する提訴がその始まりである。裁判は2013年1月24日に始まる。(翻訳・編集/XC)

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