2012年12月29日、中国人にとって五輪はスポーツのすべてであり、金メダルはスポーツ選手にとってすべてだった。しかし、12年のロンドン五輪を機に、中国人の金メダルに対する考え方に変化が生まれているという。斉魯晩報（電子版）が伝えた。

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ロンドン五輪で、金メダルを逃した重量挙げの呉景彪（ウー・ジンビャオ）選手がマイクロブログで謝罪した際には、多くの中国人ユーザーは「何か悪いことをしたの？」と問い返した。五輪初出場の緊張から競技に失敗した女子重量挙げの周俊（ジョウ・シュン）選手を嘲笑したメディアは、世間からの激しい非難を浴びて公開謝罪に追い込まれている。

男子110mハードルの金メダリスト劉翔（リウ・シャン）選手はすべての中国人の誇りだった。04年のアテネ五輪で金メダルを獲得して以来、劉翔選手の存在は「神」に近かった。2大会続けてロンドン五輪でも棄権した劉翔選手に対しても、多くの中国人が北京五輪の時とは違って同情的な意見を寄せていた。

ロンドン五輪で中国の男子水泳選手として初の金メダルを獲得した孫楊（スン・ヤン）選手に対しても、中国の人々は8年前の劉翔選手の時のような熱狂的歓迎ぶりを見せず、あらゆる栄誉を無条件で孫楊選手に差し出すようなこともなかった。それは国民がすでに金メダル獲得の裏側に巨額の資金が投じられていることを知っているからである。孫選手のトレーニング費用は五輪前の2年間で1000万元（約1億3800万円）を超えたといわれている。

「金メダルにそれほどの価値があるのか？」と、多くの中国人が考え始めた。金メダルは民族の自信を奮い立たせ、国力を示すことができる。確かに中国はそれを経験した。それは歴史上の必然的過程でもあった。しかし、今は違う。これからはスポーツを楽しみ、その精神をほめたたえ、失敗や間違いを受け入れ、健康を求めていく時代だ。人々は、これまでの金メダル生産システムや成績重視のスポーツ価値観を見直し始めている。スポーツの大衆への回帰を求める声は日増しに強くなっており、中国スポーツ界が数字崇拝から脱却するための環境はすでに整いつつある。（翻訳・編集/本郷）