家計にやさしい「ねこまんま」が日本でひそかにブーム―中国メディア

Record China    2012年12月9日(日) 6時50分

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7日、中国メディアは家計にやさしい「ねこまんま」が日本でひそかにブームになっていると伝えた。資料写真。

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2012年12月7日、月末になると懐が寒くなり、衣食を切り詰めて節約せざるを得ないという人も少なくない。日本には安価な「ねこまんま」という料理がある。もちろんこれは、ネコが食べる餌というわけではなく、れっきとした日本の伝統的な料理だ。過去において、「ねこまんま」は貧しい人が生き延びるために食べたものだったが、経済が低迷する現在、日本人にとって「ねこまんま」は、過去の苦労を思い、今の幸せをかみしめるための材料となっているだけでなく、再び節約のための手段となっている。環球時報が伝えた。

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■現代「ねこまんま」という呼び方は不適切

日本では、ご飯にカツオ節をかけ混ぜ込んだものや、ご飯に味噌汁をかけた簡便な混ぜご飯を「ねこまんま」と呼ぶ。お米は日本の主食で、比較的安価に手に入る。一方のカツオも日本では非常に一般的な食用魚だ。そのカツオの肉を加熱してから乾燥させ、削ったものが「カツオ節」。「ねこまんま」の作り方は、ご飯にカツオ節をかけ、その上に醤油や味噌汁などをかける。「ねこまんま」と呼ばれているのは、かつてネコに与えていた簡単な餌、残飯の様相を持っているから。しかし、現代の人が食べる「ねこまんま」は塩分が多く、ネコの健康を損なう恐れがあるため、餌としてはすすめられていない。日本人が現在、ネコに餌として与えているのは、キャットフードやネコ用の缶詰だ。その値段も人が食べているものより高価な事が多く、「ねこまんま」という名前はもう適切ではなくなっているという人もいる。

「ねこまんま」の起源は定かではないが、日本の歴史の中で、戦災や飢餓が頻発していた時代に「ねこまんま」は貧しい庶民の主食となり、すでに1000年以上の歴史があると考える人もいる。江戸時代中・後期、幕府が腐敗し、鎖国していたため、社会資源は乏しく、貧富の差が広がった。そして、最も底辺の農民や手工業従事者、ひいては身分の低い武士でさえ食べ物に困窮していたため、安くて簡単な「ねこまんま」が流行。当時カツオの産地として有名だった静岡や紀伊半島の和歌山、九州の鹿児島で生産されたカツオ節が「ねこまんま」の主な材料となった。一方、明治維新後の争乱期から第二次世界大戦後期まで、常に飢餓や死の危険にさらされていた日本の庶民は「ねこまんま」を生きるための「最後の方法」と見なしていた。このように過去において、「ねこまんま」を食べていたのは主に貧しい人だ。ただ、独特の風味があるとあって、一部の富裕層や地方官僚も好奇心から食べるようになった。戦国時代の関東の覇者・北条家も「ねこまんま」を好んでいたと言われ、名将・北条氏康は息子・氏政がメシに汁を2回かけるのを見て「北条家もこれまで」と嘆いたと言われている。

■136種類の「ねこまんま」を紹介した本が人気

「ねこまんま」とひとえに言っても、地域によって食べ方も異なる。関東や東北地方において、「ねこまんま」とはご飯にカツオ節をかけて、醤油を少したらせば出来あがり。カツオのうまみが引き出されさっぱりといただける。一方、関西ではご飯に味噌汁をかけたものを「ねこまんま」と呼び、味はカツオ節をかけるだけのものより濃い目。いわゆる「汁かけごはん」だ。また、北海道では、カツオ節をかけた後、醤油とバターを加えることが多く、独特の味わいになる。簡単な「ねこまんま」にもいろいろな食べ方があり、さらなる進化の余地も残されている。

漫画家・安倍夜郎の人気作品「深夜食堂」は2009年にテレビドラマ化され、その中で「ねこまんま」に関するエピソードや作り方が取り上げられ、「見たら食べたくなった」と言う人が続出。世界的に知られるほど、一時、人気になった。また、136種類もの「ねこまんま」を集めた料理本、「おとなのねこまんま」(発行:アース・スターエンターテイメント)も話題に。あたたかいごはんにケチャップをかけ、コーンとバターをのせ、仕上げにパセリのみじん切りをふる「お子様ランチ風バターまんま」などが紹介されている。これを見た読者からは、「材料や調味料に工夫を凝らすことで、簡単な『ねこまんま』にもこんなにいろんな食べ方があるんだ」との声が寄せられるなど、好評を博し、発売から1か月で2万冊以上が売れた。また、さらに手軽に「ねこまんま」を食べられるようにと、「インスタントねこまんまの素」を発売している食品メーカーもある。

■今でも「ねこまんま」は節約の手段

日本人は食事の面でも強靭な忍耐力を誇り、梅干し1つでご飯1膳を食べられるのは日本人くらいだろう。日本の社会にとって、「ねこまんま」は過去の苦労を思い、今の幸せをかみしめるための良い材料だ。また、切羽詰まった生活を迫られている人にとっては、現実的な価値があるものだ。「ねこまんま」のレシピや味は、昔と比べて変化しているものの、安価であることには変わりなく、「ねこまんま」1杯のコストは100円程度だ。吉野家の牛丼でも1杯380円であることを考えると、非常にリーズナブル。「おとなのねこまんま」をプロデュースした中島氏は、自家製「ねこまんま」なら1食30円程度と試算している。収入に限りがある人や失業中という人にとっては、ありがたい味方だろう。(提供/人民網日本語版・編集/TF)

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