一家4人が発症して2人死亡=新型ブニヤウイルス、マダニにかまれて1人感染、家族間でヒト・ヒト感染か―浙江省

Record China    2018年8月5日(日) 8時50分

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浙江省で、マダニにかまれることが原因の新型ブニヤウイルス症に一家4人が感染し2人が死亡した。これまで少ないとされていたヒト・ヒト感染が発生したと考えられている。写真1枚目は血を吸って膨らんだマダニ。2枚目は「死線をさまよった」女性の退院時の記念写真。

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浙江大学医学院附属の逸夫医院(病院)感染症科で副主任を務める季淑娟医師に電話がかかってきたのは7月7日夜だった。別の医療機関からの相談で、21歳の男性患者が重篤な症状を示しているが病名の特定ができないという。

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患者は発熱し始めてから3日目で下痢や嘔吐(おうと)、全身の筋肉や関節の痛みがある。血小板も白血球も数が低下しており、ウイルス性の感染症とみられるとの説明だった。

このような症状を聞いただけで、医師が驚くことはない。しかし患者の70代の母方祖父が同様の症状で数日前に死亡、60代の母方祖母が同様の重篤な症状で治療を受けていると聞いて、季医師は「これは容易ならざる事態だ」と緊張した。デング熱患者が増えていたのでまず疑われたが、検査の結果は陰性でデング熱の可能性は排除されたという。

季医師はただちに、SNSを利用して同僚の医師に連絡を取り、意見を求めた。アカウントはたちまち、医師らの「激論の場」になったという。最終的に同病院副主任で肝臓感染症科の主任である俞雲松教授が提出した「新型ブニヤウイルス感染症の可能性がある」との主張が重視されることになった。新型ブニヤウイルス感染症の検査は同病院ではできず、翌日になり政府関連施設で検査を行った。陽性だった。

21歳の男性患者が入院して3日後、患者の母方祖母が死亡した。さらに、患者の伯母にも同様の症状が出て入院治療を受けることになった。伯母の症状は男性患者よりも深刻で、腎臓やすい臓の障害やウイルス性の心筋炎、肺の感染症が発生していた。

ブニヤウイルス感染症は多くの場合、マダニにかまれることで感染する。しかし、21歳の男性患者もその伯母もマダニにかまれた記憶はないと主張した。しかし感染経路はどうしても突き止めたい。医師らは「とにかく、思い出せることは思い出してほしい。教えてほしい」と頼み込んだ。

すると患者2人は「そういえば、祖父は川の泥を除去する作業をしていた時、草むらで休憩していて虫にかまれたようだと言っていた」と話し始めた。祖父の症状は激しい出血を伴うもので、祖母が看病していたという。さらに、祖父が死亡して遺体を引き取る時には、男性患者とその伯母が遺体と同じ車両内に4時間程度いたと分かった。

医師らは、亡くなった祖父がまずマダニにかまれて新型のブニヤウイルス感染症にかかり、さらに祖母や男性、伯母へのヒト・ヒト感染が発生したと判断した。

俞副院長によると、ブニヤウイルス感染症は体液や血液を介してヒト・ヒト感染する場合があるが、感染の確率は小さく、体液や血液への接触を避ければ十分に防護できる。また、早期に治療を始めれば完治可能なので、過度に恐れる必要はないという。

ただし、伯母が入院した病院では、出血がひどかったこともあり、看護師らが「恐怖」に襲われたという。病院は院内感染を阻止するため、患者を減圧室に収容し、病室に入るスタッフには使い捨ての防護服や手袋、靴カバー、ウイルス感染症を防止できるマスクなどを着用させ感染防止のための方法を繰り返しスタッフや見舞いの親族に教授したが、それでもスタッフの恐怖心はなかなか消えなかったという。

そのため、陳慧穎看護師長が率先して血まみれになったシーツの交換などを行った。彼女の献身的な仕事ぶりで、スタッフの恐怖心がようやく薄らいだという。

伯母の症状は極めて深刻だった。特に数日間は「死線をさまよった」という。病院側は全院体制で治療を行い、彼女を「死の淵から連れ戻す」ことに成功したという。

同件を伝えた3日付広州日報(電子版)は、マダニが媒介するウイルス感染症は83種、細菌感染症は14種、リケッチア感染症は20種、原虫感染症は32種も確認されていると紹介。さらに、夏期はマダニの活動が活発になるとして、森林や草むら、丘陵地帯など屋外で活動する場合には、皮膚の露出部分をできるだけ少なくしたり、草が密集する場所には近づかない、マダニに対して効果のある虫よけ剤を使うなどの対策が必要と紹介した。

また、マダニにかまれることが多いのは頭髪が生えている部分、耳周辺、脇、へそ周辺、股間、膝の裏側として、マダニにかまれた場合には黒いあざが残ると紹介。ただちに医療機関に行って治療を受けねばならないと忠告している。

本記事写真1枚目は血を吸って大きく膨らんだマダニ。2枚目は新型ブニヤウイルス感染症の治癒に成功した女性が退院する際の記念写真。花束を持っているのが退院する患者。右から2番目が、院内で一時発生した看護スタッフの「パニック」を終結させるため献身的に仕事に取り組んだ陳慧穎看護師長。(翻訳・編集/如月隼人

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