中国の「食の安全」を政府や企業に委ねるな、社会全体で立ち向かおう―中国誌

Record China    2012年6月23日(土) 18時35分

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20日、中国の時事週刊誌・南風窓は、中国の「食の安全」は産地から食卓に至るすべての段階で深刻な問題を抱えていると論じた。写真は11年5月、遼寧省瀋陽市で摘発された使用禁止の添加物を使った「毒もやし」の製造業者。

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2012年6月20日、中国の時事週刊誌・南風窓は、中国の「食の安全」は産地から食卓に至るすべての段階で深刻な問題を抱えていると論じた。

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ほんの30年ほど前は「いかにお腹いっぱい食べるか」が中国人にとって最大の目標だったが、今では「いかに安全な食品を食べるか」が最大の課題となっている。この「食の安全」問題には現代中国が抱えるすべての弊害が凝縮されている。政府の権威失墜、企業の利益至上主義、環境汚染、道徳の崩壊、信仰の欠如、やみくもな消費―。

まずは、農業の問題。中国では1983年まで有機塩素系の農薬「DDT」を使うことが許されていた。DDTの人体への有害性は1960年代、レイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」で取り上げられ、米国や日本では1970年代初めに使用が禁じられている。中国科学院植物研究所の蒋高明(ジアン・ガオミン)首席研究員は、中国では今でも化学肥料の平均使用量が先進国の上限の2倍に達していると指摘する。

食肉についてはどうか。米国では1906年、マスコミが有毒な防腐剤などの使用を報じたり、アプトン・シンクレアが小説「ジャングル」で精肉業界の実態を暴いたりしたことで、連邦純正食品・薬品法と食肉検査法が制定され、米食品医薬品局(FDA)の前身が発足した。一方、中国では先月、2004〜2011年に起きた食の安全事件をデータベース化したサイト「窓の外に投げ捨てろ」が上海の名門、復旦大学の学生らによって開設されたばかりだ。

食品添加剤はある意味、現代人の食生活になくてはならないものとなっているが、中国では基準値超えはおろか、メラミン、マラカイトグリーン、スーダンレッドなど有害な化学物質が代替品として使われるという事件が頻発している。先進国のような監視・監督体制が整っていないのがその大きな原因だ。

中国には約40万の食品加工業者が存在するが、生産許可証を得ているのはそのうちの約12万社。中小業者と比べ、大手であれば品質管理体制は万全かと思いきや、メラミン入り粉ミルク事件では三鹿、蒙牛など大手有名メーカーの不正が相次いで発覚し、消費者をがっかりさせた。

政府当局も安全性を無視した利益至上主義に走る企業の暴走を止められない。中国には食の安全を取り締まる法律が100余りあるはずだが、単なる飾り物と化している。現代の中国人にとって、「安全な食べ物を口にすること」はぜいたくな願いとなってしまった。もはや、政府や企業を責めているだけでは解決しない。社会全体で監視の目を光らせなければ、いつまでも現状は変わらないだろう。(翻訳・編集/NN)

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