抗日ドラマに多数出演した日本人俳優が明かす、「抗日神ドラマ」の舞台裏―中国メディア

Record China    2018年4月27日(金) 7時50分

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25日、環球網は、「抗日神ドラマ」関連書籍が日本で出版されたことが話題になっている中国で、日本兵役として30作以上に出演した日本人俳優が語る「抗日神ドラマ」の舞台裏を紹介した。写真は抗日ドラマ。

2018年4月25日、環球網は、「抗日ドラマ」の関連書籍が日本で出版されたことが話題になっている中国で、日本兵役として30作以上に出演した日本人俳優が語る「抗日神ドラマ」の舞台裏を紹介した。

「抗日神ドラマ」とは、演出や内容が荒唐無稽な抗日ドラマをやゆする言葉で、中国国内ではかなり前から問題視されている。そうしたドラマにも出演してきたというのは、日本人俳優の美濃輪泰史さんだ。美濃輪さんはこのインタビューを受ける直前に「抗日神ドラマ」のオファーを断ってきたといい、「スタッフから電話で『5000元(約8万5000円)あげるから遊びに来て』と言われました。自分は役者であって、遊び相手じゃない」と憤ったという。

美濃輪さんは小さいころからジャッキー・チェンに憧れ、高校卒業後にジャパン・アクション・クラブ(JAC)でアクションを学んだ後、2006年に香港に渡った。しかし仕事はなかなか見つからず、09年には中国本土に移った。以降仕事が入るようになったが、ほとんどが抗日ドラマ。30あまりの作品で日本の軍人として出演してきたという。

「抗日神ドラマ」の日本兵役は「凶悪な人相で刀を振り回し、バカヤローと叫べばOK」というもので、時代や服装の考証はめちゃくちゃなのだという。美濃輪さんは撮影に使った旧日本軍の「機密文書」の画像を見せながら、「何の文章にもなっていません。スタッフが機械翻訳しただけです」と指摘。「ミスのレベルが低いんです。例えば、ドラマには日本の女性将校がしょっちゅう出てきますが、一部スパイを除けば、当時日本に女性将校などいませんでした。また、空手のシーンを撮影するのにスタッフが用意したのはテコンドーの服で、結局自腹で空手着を買うしかありませんでした」と語った。

美濃輪さんはさらに、ある時に監督から「表情を悪そうにすれば、セリフは適当に何か言ってくれ。1、2、3とかでもいいから」と言われ、「私は演技をしに来た。数字を言わされるくらいなら帰る」と怒ったというエピソードも紹介。「神ドラマのスタッフは日本の役者と交流したがらないんです。こちらの指摘も受け入れない。彼らが欲しいのは、単に日本人の顔つきだけなんです」と語っている。

一方で、同じ日本兵役でも「学ぶ所が多かった」作品もあるという。「厨子戯子痞子」という作品で日本人将校を演じた際、日本料理店に入って水槽を見ながら「これはフグか」と話すシーンがあった。現場の水槽にはフグはおらず、後からフグがいる水槽のシーンを差し込むことになっていた。美濃輪さんが普通に演技をしたところ、同作の管虎(グアン・フー)監督から「なぜ君の目は動いていないのか。この水槽でフグが泳いでいる様子を想像しながら演技しないといけない」と指摘された。この細部へのこだわりに、美濃輪さんは思わず感心したという。

美濃輪さんは「実は、中国には抗日をテーマとした優秀な作品が多くあります。いわゆる『抗日神ドラマ』が生まれるのは、主要な製作者の姿勢にあると思います。こういう人たちが業界内で飛び抜けた存在にはなれていない事実がそれを証明していると思います」と語っている。(翻訳・編集/川尻

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