コミュニケーター旅行プランナーコラムニストアドバイザー翻訳者を募集中です!詳しくはこちら

<コラム・巨象を探る>3年で復興完了した「四川大地震」の経験生かせ―遅々として進まぬ東日本大震災復興

配信日時:2012年3月12日(月) 6時34分
<コラム・巨象を探る>3年で復興完了した「四川大地震」の経験生かせ―遅々として進まぬ東日本大震災復興
画像ID  318594
東日本大震災から1年が経過したが、復興は思うように進んでいない。3年で復興終結宣言が出た中国・四川大地震の事例に比べはるかに遅いと言わざるを得ない。写真は四川●(さんずいに文)川県映秀鎮の大地震後、再建された様子。
2012年3月11日、東日本大震災から1年が経過したが、復興は思うように進んでいない。がれき処理など課題が山積し、被災地再生の具体化はこれから。34万人余りが全国各地に避難し、仮設住宅などで不自由な生活を送る。2008年5月に発生した中国・四川大地震では3年で復興終結宣言が出たが、この事例に比べはるかに遅いと言わざるを得ない。

未曽有の大地震は日本経済に大きな打撃を与えた。死者・行方不明者は約1万9千人。復興費用は10年間で23兆円と推定されている。震災による企業の損失は東証一部上場企業だけで3兆1千億円。全体の被害額は計り知れない。東日本大震災関連の企業経営破綻は677件にのぼった。1995年の「阪神・淡路大震災」が発生から丸1年で152件だったのと比べ4倍強に膨らんだ。

政府の司令塔となる復興庁が発足したのは地震発生から1年近く経った2012年2月中旬。東北3県の震災がれきは約2250万トンに達するが、ほとんどは被災地の仮置き場に積まれたまま。多くは自治体のまちづくり計画に組み込まれた場所で、処理の遅れは復興に大きく影響する。政府は自治体にがれきの受け入れを呼び掛けているが、正式に引き受けたのは東京都と青森、山形両県だけ。大半の道府県では住民の反対によって拒否され、日本人の美徳「絆」に疑問符が付く事態となっている。

復興関連予算の執行が遅れていることも問題だ。4次までの補正予算に計上された14兆3400億円のうち執行されたのは6割程度。政府は、地方自治体への総額1兆8500億円の復興交付金の第1弾として、2509億円の配分を決めたが、被災自治体からは「政府の査定が厳しく通常のひも付き補助金と変わらない」との不満の声が出ている。

各種世論調査では、復興が「進んでいない」と見る人が80%前後に達し、東北被災地ではこの数字がさらに跳ね上がる。その原因については、「原発事故の影響」「被害の規模と範囲の大きさ」と並んで、「政府の対応に問題」との回答が目立つ。政府・与党は、これらの数字を重く受け止め、復興事業の加速に全力を挙げるべきである。被災者は一日も早い復旧・復興を望んでおり、政府には、もっと被災者や自治体に密着した対応が求められる。 

2008年5月12日に起きた中国・四川大地震。死者が9万人に上り、家屋の倒壊21万6千棟、損壊家屋は415万棟にも達した。四川省西部の被災地では、震災の傷跡を感じさせないほどの復興を遂げた。2011年9月時点で国の復興再建プロジェクトの完了率が98.7%に達し、四川省の103に上るプロジェクトもほぼ終了し、「復興完了宣言」も出された。

四川大地震発生後の3年間で540万世帯、1200万人以上が居住する住宅が建設された。同地震では学校校舎の倒壊が目立ち、校舎の下敷きになって死亡した学生の数は1万9千人にも上った。「おから工事(手抜き工事)」や耐震基準の低さなどが指摘され、人災であるとして保護者や遺族が国を訴える動きや抗議活動なども見られた。「学校、病院を最も安全な場所にする」との目標の下、倒壊した学校3001校のうち2989校、医療機関も1362カ所中の1359カ所が既に建て直された。
地震の翌年2009年には被災地区のGDP成長率は15%に達し、工業出荷額、小売総額ともに3割増となり、現在では被災地区の基本的な生活水準や経済活動は震災前の水準を大きく上回っているという。

四川大地震発生の3週間後に、中国政府は大規模な財政出動策を決定。さらに、甚大な被害を受けた四川省内18県(市)及び甘粛省、陝西省と、経済力のある省(市)を1対1の形で組み合わせて復興支援を担わせる「復興プログラム」を策定。支援側の省(市)に、年間財政収入の1%以上を復興支援費用に拠出することを義務付けた。経済力のある広東省、江蘇省、上海市、北京市など19省(市)が、被災地を3年間支援、大きな成果を上げた。支援側省(市)の財政力によって不公平が生じないよう、被災の重さによって順に財政収入の高い省(市)が割り当てられ、主に住宅や学校、病院の再建を支援した。

東日本大震災復興を進める上で、これら中国の「決定の速さ」「アイデア」などは大いに参考になる。日本でも、企業誘致のための税制の優遇措置や、病院や福祉施設の設置基準を緩和する規制緩和などが認められる復興特区制度がありこれを積極的に活用すべきだが、これまでに宮城県の「民間投資促進特区」など4件が認定されただけ。特区による企業誘致は、雇用の確保などの波及効果があり、地域を再生する原動力にもなり得る。特区制度をもっと活用できるよう、政府がリードし自治体につなげることが大切だ。

このままでは東日本大震災の復興は10年以上もかかってしまう。大規模な復興事業が迅速かつ有効に作用すれば日本経済の復活にもつながろう。
<「コラム・巨象を探る」その15>

<「コラム・巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事)>
※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
記事について質問する
非表示
  • コメント
  • facebook
  • twitter
コメント 0

  • コメントを書く

残り400
利用規約 を順守し、内容に責任をもってご投稿ください。
おすすめ記事
最新ニュースはこちら

アンケート

あなた自身は法律に賛成?反対?
投票する

SNS話題記事