<コラム>中国の全国人民代表大会とは?日本の国会とはだいぶ違う

配信日時:2018年3月13日(火) 19時40分
中国の全国人民代表大会とは?日本の国会とはだいぶ違う
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現在、北京で全国人民代表大会が行われています。会議の内容については、政治の専門家に任せるとして、この大会の周辺情報についてご紹介します。写真は人民大会堂。
現在、北京で全国人民代表大会が行われています。会議の内容については、政治の専門家に任せるとして、この大会の周辺情報についてご紹介します。

まずは、略称。日本では「全人代」という表記をされますが、中国では「全人大」と表記します。なぜこういうことになったのか不思議ですが、日本の略し方だと、「全国の人民の代表」ということになり、出席している人たちを指しているような気がします。議会を指すのであれば、「全国の人民代表による大会」の頭文字をとった「全人大」の方が納得できます。

議会は、毎年3月に行われるだけです。日本の国会も年中開会されている訳ではありませんが、中国ではそれよりも短いです。議論をするというより、政府中枢で決めたことを発表し、全国の人民の代表者たちが確認をする場、という感じです。

人民代表と言われる人たちは、各省・自治区、直轄市、特別行政区の代表および軍から選ばれた人で、総数は3000人を超えてはいけないのだそうです。それらの代表に関しては、市民が直接選挙で選ぶのではなく、市民たちが地方自治体の選挙で選んだ人たちが、代表を選ぶという間接的な関わり方ということだそうです。市区町村議を市民が選び、市区町村議が都道府県議を選び、都道府県議が国会議員を選ぶという感じですかね。

人民代表は、全て共産党員ではありません。全体の3割弱は、非共産党です。その勢力の中には、国民党系の人たちもいます。共産党以外の政治活動を認め、その人たちの意見も聞いているということのようですが、日本の与党と野党の関係というより、連立与党という関係なので、日本の野党のように政権党を追求することはありません。ちなみに「台湾省代表」という人たちもいて、今回の代表には、台湾の高山族の人もいます。

会期中には、全体会議の他に、省・自治区等の単位で、それらの出席者と政府幹部との会合が行われているようですが、報道写真を見る限り、会議というよりも会見、懇談といった様子です。

出席者は、中国各地からやってきます。少数民族からの出席者は民族衣装を、軍の出席者は軍服を着て来ます。会期初日には、それらの民族衣装を着飾った人たちが議場にやってくる様子が報道されるのがお約束となっています。

改革開放後であっても、しばらくは企業経営者が代表に選ばれることはありませんでしたが、今世紀に入ってからは、有力企業経営者も代表になることが増えてきています。今回の開会日に議場の入口で代表者たちが意気込みを語るというビデオがありましたが、テンセントの馬化騰CEOが記者の質問に答えていました。

以前は、毛沢東の孫である毛新宇が、人民大会堂で迷子になったといったことが、その風貌と合わせてユーモラスに報道されていましたが、今年は毛沢東の孫と言えども、代表から外れてしまったので、お約束のトピックスがひとつ減ってしまいました。

議場である人民大会堂は、会期以外の期間、条件が合えば利用できます。コンサートやイベントが行えます。ある日系企業が、展示会を行っていますし、料理を手配できるので、パーティをすることもできます。人民大会堂内のレストランは、中国版のぐるなび的なサイトにも掲載されています。

2011年に日本の男性アイドルグループが北京でコンサートをした際、その事前記者会見を人民大会堂の中の部屋でやり、日本メディアは「国賓待遇」だと報道していましたが、空いていれば貸してくれるだけなので、全く「国賓待遇」ではありません。私自身は、人民大会堂は利用したことはありませんが、同じ全国的な会議の議場である、政治協商会議礼堂や、省や市の単位の会堂をイベント会場として利用したことがあります。

よく「日本の国会に相当する」という言い方をされますが、同じ立法機関だということだけで、その状況はかなり異なるものです。

■筆者プロフィール:田中 周 (たなか しゅう)
1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。
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